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□百聞
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「委員長達にはもう会いました?」

紅茶を片手に問いかけてきた副会長に、俺は書類から顔を上げた。
辺りを見渡すが、双子はいない。
くそっ、また逃げたか…!

会計は、…寝ていた。



「…委員長?委員会のやつか?」
頭痛を訴える頭を抑えながら副会長の質問に答える。

頭痛の主な原因は九割方は、そこで寝ているバカと逃走したバカ二名だ。
奴等は、居て騒ぐか、いないか、寝てるか、遊んでるかぐらいしかしない。お前ら仕事しろ。

「ええ、今年は曲者揃いらしいですよ」
確か、色々と噂になっていた気がする。
だが、俺は正直よく知らない。
生徒会長になるのに精一杯でロクに友人らしい友人を、入学から一年たった今でも作れていないからだ。

…な、泣いてねーよ!


「らしいな。まだ直接会ったことはないが」

何時かは会わなくてはいけないのだろうが、今じゃなくてもいいだろう。

何だか嫌な予感がする。

「そうですか…。なら、会いに行ってはいかがです?丁度渡さないといけない書類があるのでしょう」

副会長が微笑みながら書類を指差す。
後で会計を叩き起こして持っていかせる(予定の)書類だ。

それを何で俺が持っていなくちゃいけない。


「会計にやらせればいいだろう」
俺も寝たいんだ会計。目の前で寝るな会計。
…寝不足で思考が危うくなっている自覚はある。

副会長は少し考えると、ぽんっと手を打った。
紅茶はその際、机に置いていた。

飲まないのか、この紅茶。
量の変わらない紅茶に俺は内心首を傾げた。

「彼にはこの書類をしてもらいましょう。会長は外の空気を吸いに行ってはいかがですか?
散歩のついでに書類を渡すと一石二鳥ですよね」
若干言いくるめられた感があるが、確かに一理ある。
俺は書類を片手に生徒会室から出た。


嫌な予感がしたことは、その頃にはすっかり忘れていた。

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