「ちょっと通りますよ。」

□不思議な世界の話
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『(迷子になっちゃった〜・・・)』



ただいま、散歩中。片手には携帯。

お母さんに新鮮な空気でも吸ってこいと言われ半ば強制的な散歩。

なんでそんな事言われるのかは伏せておくけどね。





しかし、地元なのに迷子になるなんておかしいと溜め息をはく。
しかもこの年で。

もう高校生になるのになんだこの笑い話は。
それを話す相手なんかいないけども。




こんな道あったっけ?
無事に帰れたらお母さんのこと恨む。


今更ですが私鈴木三咲と申します。
これでもこの小説のヒロインやらせてもらっています。
現在中3で晴れてこの春高校生になるんです。
ちなみに性格はこれといったキャラがないごくごく普通な女子中学生です。
このごろ面白いことがひとつもないので漫画の世界へ飛び込みたいということを毎日思ってます。


『(綺麗な竹林・・・)』


そこへ入ってみたくなるのはまだ好奇心旺盛な証。

いいこといいこと。
木立ちから太陽の日差しが漏れている風景はほんと絵になるよ。
思わず写メ撮っちゃったよ。
しかし、不思議だな。
もう竹林は抜けるはずなのに、人とすれ違うことがなかった。
私が住んでる街ってこんなに田舎だったっけ。


竹林を抜けると、一風変わった街並みになっていた。
見慣れない街だなぁ・・・。
竹林があった方を見てみると、普通の一軒家が立っていた。

あれ!!!?と大声で叫ぶと道を歩いている通行人が私を避けるように歩いていくようになった。


『ここどこだ?』


何か・・・変な感じだ。
普通とは違うというか。
・・・空気が違うというか。


とりあえず写メを撮る。


全然知らない街。
普段と変わらない人達。
あんな高いビル、近所にあったら家から見えるはずなんだけど・・・。





・・・て、あれビルじゃない。


お城だ!
いや、違う・・・。
お城のような学校。


『正十字学園。』


えーと、多分これは夢だと思うのだが・・・。

漫画の世界に来ちゃった?


上がりっぱなしの口角で私は街中を見渡す。
多分はたから見たら今の私はかなりの変質者。

マジか。あの学校の形、色・・・同じだよ。


マジか・・・。



私・・・燐と会えるんだ!!!











そういえば、もう、この世界は桜が散り始めてる。
私が住んでるとこは、まだつぼみのままだったのに。

そうだ!!正十字学園の入学式・・・!!
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