「ちょっと通りますよ。」

□楽しい友達作り
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やっと担任の長い話が終わった。

そして、やっと塾に行ける!!!!

私は走った。
この広い学園内を。
メロスのように。
走れ!三咲!!
塾への行き方も解らないまま私は脳内メロスとともに走った。
先生に聞きながらだけど、なんとか塾の扉の前に辿り着いた。
皆と会える!!
心臓が高鳴ってるのが身を通じて解る!!!



ガチャ。



皆の睨んでる視線がとても痛い!!
体中が痛い!
でも最初に目が合ったのは燐だった。
だって、一番前に座ってるし、隣にメフィスト犬もいるし。
うん。目立ってるよ。


『りーーん!』


燐だなんて馴々しく呼んだものの、私と燐 が話したのは初めて。
車の中で会ったから覚えてるだろうと思って話しかけたんだけど・・・。


「誰だ?」


抱き付こうとした私は一旦、燐の目の前で止まった。
なんてこった。
やっぱり馬鹿な燐は私なんか眼中になかったんだ。
でもポジティブな私はそんなこと気にしない!
これから仲良くなれば結果オーライじゃん!


『燐!なに言ってるの!?車の中に私いたでしょ?』


燐の隣に座りたいので、貴方(メフィスト犬)は退いてください。
燐の顔がこんな近くで見られるなんて幸せ!!
抱きつきたい!でもこんな静かな教室の中でそんなことしたらすごく恥ずかしい!
なんで!!なんで!!!目の前にいるのに抱きつけないって!!!くっっっそ!!


「・・・ああ!お前か!でも俺名前言ってないよな?」


『り、理事長に・・・』


簡単な嘘をつくと、床にふせていた犬が起き上がりこっちを向いて唸っていた。
その犬に爽やかスマイルをかましてやってからまた燐の方に向き直った。


『私、鈴木三咲!よろしくね!』


燐の手を掴んでそう言った。
選挙活動みたいな手の掴み方をしたけど、燐は曇った顔一つせずよろしくなと私の手を握り返してくれた。
やっぱり選挙活動みたいだった。
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