弱虫short

□レッドシンドローム
1ページ/1ページ

 








ふっ、と視界をかすめた赤につられて、今泉は視線を動かす。ポニーテールの女子生徒のシュシュ。はぁ、と小さくため息をついて、今泉は視線を逸らした。



「…俺、そろそろ病気かな…。」






******




無意識に、赤色を探している。



それに気がついたのは、ほんの1、2ヶ月ほど前。



何の気なしに追いかける視線の先には、必ず赤い何かがあった。赤いマフラーや、赤い髪留め、赤いペンケース、その他諸々。見つけて追いかける度に、ほんの少しだけ、鼓動が速くなる。



そして、それが一番顕著に現れる"赤"は…



「よーっす、入るでースカシおるかー?」



ガラリと教室の扉を勢いよく開けて、特に遠慮することもなく入ってきた、奴。



赤い髪、赤い瞳、耳につく関西弁と大きな声。



どくり、と心臓が跳ねた。



声のする方に視線を向ける。



あぁ。



目の冴えるような、きれいな赤だ。



「なんだ、鳴子。」



「あっ、居った!居るなら返事せぇやスカシ泉!」



「悪い、お前が小さくて見えてなかった。」



「なんやてぇ!?」



「静かにしろよ教室だぞ
。で、用件はなんだ?」



「次から次へと減らず口をお前は…!…まぁ、ええわ。さっき、グラサン主将に会うてな、今日の練習メニューやけど…ー」




目の前の赤に、鼓動はまだ速いままだ。



俺は本格的に、









落ちてしまったかもしれない。








end



 
今泉くんはどうしたらスカシ泉くんになるのだろうか。←

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ