book2

□さくら
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春。
新学期。
新しい始まり。
今日、僕は高校生になった。
「いってきます。」
そう言って、玄関を出る。
外の空気は微かに甘い気がした。
香りの正体は、桜だろう。
はらはらと散っていく花びらは毎年名残惜しく感じる。
「・・・今年もきれいですね。どこかで、見ていますか。梢。」
昔から、いつも二人で見上げてた桜の花。
梢はこの花が大好きだから。この時期になるとちょっとしたお弁当と好きな小説を持ったりして、二人で出かけたりした。
すごく前の記憶なのに、ちょっと前の記憶に感じる。




『どうして桜が好きなんですか?すぐ散っちゃうじゃないですか。』
『それが儚くて綺麗なんですよ。特に夜桜が好きです。』



手のひらに落ちた花びらを見つめる。
「どこに居るんですか。」
空の上とか、じゃないでしょうね。笑わせないでくださいよ。








これは、僕の妹と、僕とキセキの皆の不思議なお話です。
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