book2
□さくら
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『シバきますよ。』
彼女によく言われていた。
一目惚れだった。
風に揺れる絹糸みたいな髪。
お兄さんによく似たビー玉みたいな目。
でも性格は真逆で、とても気が強かった。自分になびかない女の子は初めてでとっても興味深かった。
「黒子っちください。」
「こんな所に居たら宝の持ち腐れッスよ?」
黒子っちを見つけて、会いに行ったら今は居ない彼女と姿が重なり、急激に寂しくなった。
だから、いろんな理由をつけて黒子っちを傍に置きたくなって。
「丁重にお断りさせて頂きます。」
断られて、思った。
ああ、まだ彼女を諦め切れていない。
「いつまでも手ぇ振ってんじゃねぇシバくぞ!!!」
そう言って怒る笠松先輩に、
「スンマセン!」
そう元気に謝った。