隠し物語

□笹川とクロームとランボ
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「んじゃ、次はクロームと笹川だな」

「まだやるの!?」

「当たり前だぞ」

気を取り直して、リボーンが言うと綱吉が悲痛そうな声を上げた。
さっきの怪談を聞いて、喜んで行く者などいないだろう。

「極っ限ー!!行くぞ!髑髏!!」

いた。
いつもどうり極限と叫びながら行こうとする笹川に、綱吉は尊敬の念を抱いた。

「うん」

「待ちなさい、クローム」

笹川の後ろに着いて行こうとしたクロームを、骸は呼び止めた。

「これも持っていきなさい」

そう言って渡したのはランボだった。
さっきまで寝ていたはずのランボはいつの間にか起きていて、肝試しに乗り気だった。

「ランボ、いつの間に!?ランボ、怖いんだぞ、いいのか?」

「ランボさんをなめるなー!怖くないもんね!」

すっかりノリきのランボに、綱吉はすまなさうにクロームに片手を上げた。

「ごめん。こいつの面倒頼んじゃう形になるけど…」

「平気。……それにランボさんがいた方が安全だから」

クロームはそう言うと笹川のあとを追い、駆け出した。
小さくなる背中。
クロームの姿が見えなくなると綱吉は、骸に食って掛かった。

「どういうつもりだよ、骸」

「どう、とは?」

食って掛かる綱吉なんぞ何のその。
すました顔で受け流す骸には苛立ちしか覚えなかった。

「なんでランボを連れていくようにしたんだよ。ランボは子どもだぞ!?」

「子どもだから連れていくようにしたんですよ」

「はぁ?」

これ以上何も言うまいと、口をつぐみ顔を反らす骸。

そんな骸を雲雀は睨み付けるように見ていた。


◇◇◇

「しかし暗いな」

「うん。ランボさん暴れないで、落ちちゃうよ」

「進めー、進めー!」

暴れるランボをなんとか抱き締めつつ、クロームは笹川と山の中を歩く。
山と言っても道は整理されているため、比較的歩きやすいが。

「しかし骸の奴は何を考えておるのだ?」

わざわざ寝ていたランボを渡すなど、考えがみえない。

「骸様は、心配してくれてるから」

ランボをぎゅ、と抱きクロームは言った。
抱く力を強めたクロームに、ランボは不思議そうに見上げる。

「ランボさんは子どもだから」

「む?」

いまいち言っている意味がわからない笹川だが、いつものことだと納得する。
自分は大抵人の言っていることを一発でわかることなど、できないと自覚ずみだ。

「お、祠が見えたぞ」

「………ぅ?」

祠が見え、駆け出す笹川。
笹川と祠を見比べ、ランボは泣き出しそうに顔を歪めた。
 
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