隠し物語

□霊症
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「ツナも、て…」

「俺も視えるぜ」

「えええ!?」

あはは、と笑いながら言う山本に綱吉は驚愕した。だってそんなの一度も聞いたことはない。

「何が見えるんだよ」

「幽霊なのなー」

「はぁ!?寝ぼけてんのか?」

幽霊というものを信じていない獄寺は、呆れたように言った。綱吉はそれに苦笑しながら、三人は並盛中学に向かった。



「沢田綱吉」

学校に着けば、風紀委員が待ち構えていて。
あれ、今日って生活点検の日だっけ、と首を傾げればがし、と両腕を掴まれた。

「委員長がお呼びだ」

「へ?」

「行くぞ」

「ええええ!?」

訳もわからずに連れていかれる綱吉。突然の事に、獄寺と山本は何もできなかった。



◇◇◇


「やぁ、おはよう」

「おはようございます。…て、いきなり何なんですか!?」

朗らかに挨拶をされ、反射的に挨拶をした綱吉だが、急に連れてこられたことを思いだし、問いただした。

「用があってね。文句ある?」

「いえ、ありません」

トンファーを出されては言いたい文句も言い出せない。情けない自分に涙を流したい気分になった綱吉だった。

「ふーん。やっぱりね」

「?あの…」

「君、霊が視えるようになったんだって?」

「え、なんで知って…」

「予想はしていたからね」

雲雀は座っていた座り心地の良さそうな椅子から立ち上がり、綱吉の目を覗きこんだ。
漆黒の瞳が綱吉を射抜く。
居心地が悪く、綱吉は体を揺すった。

「君は怪異に触れたからね。そういう者は視やすくなるのさ」

「そう、なんですか?」

「そうだよ」

「……なんで?」

雲雀は綱吉から離れ、机の引き出しの中をいじりかながら、説明した。

「前に言ったと思うけど、怪異はあるんだ。ただ、みんな気づかないだけ」

「はぁ」

「でも怪異に触れれば、視やすくなる。なぜなら一度接触すれば怪異があると認識してしまうから。そうだね…」

雲雀は引き出しから何かを取りだし、ポケットに入れる。そしてそのまま部屋を出ていった。
待つこと数分。
雲雀は水の入ったコップを手に戻ってきた。

「え、と雲雀さん?」

「これ、なんだと思う?」

「……コップ、ですよね。水の入った」

「うん。そうだね」

綱吉の答えに雲雀は頷いた。
そしてそのコップを綱吉に押し付けた。

「なら中に手を突っ込んでみな」

「は、はぁ」

何が何だかわからないがとりあえず言われた通り水の中に手を突っ込んだ。
何かが指先に触れた。
 
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