隠し物語

□雲雀と綱吉
1ページ/2ページ

「次、僕らだよ」

行きたくない。
そう思った綱吉だった。

「い、行きたくないー…」

「ワガママ言ってんじゃねーぞ、ダメツナが」

真っ青にして震える教え子に、リボーンは容赦なく言った。
ここでやめるほどリボーンは甘くも優しくもない。

「本来の目的はお前のヘタレを治すためなんだからな。しっかりやれ」

「はじめて知ったんだけど!?」

つまり綱吉はどうあっても肝試しをやらなければならないて言うことだ。
山本や笹川達の話しを聞いていて、喜んで行く者なんてまずいないだろうと思う。
だが、

「行くよ」

スタスタと行く雲雀。
恐怖と言うものがない雲雀にとってはどうでもいい話で。
綱吉はガックリと肩を落とし、雲雀の後をついて行った。




木々に覆われた山はただでさえ薄暗いと言うのに、夜中のお陰で真っ暗だった。
明かりは渡された懐中電灯だけ。
びくびくと震えながら歩く綱吉と、スタスタと歩く雲雀。
当然、会話らしい会話なんてあるはずもなかった。

「……ねぇ」

「は、はいぃ!!」

ビクリッと一際大きく震え、上擦った声で返事をする綱吉。
それに雲雀はため息をついた。

「うっとうしい」

バッサリとそう言い捨てた。

「びくびくしすぎ」

「うぅ…、怖いんです…」

夜の森も怖いが目の前の雲雀も怖い。
怖いものが二つもあるのだからびくびくするのも仕方がないじゃないか。
そう思う綱吉だ。

「何が怖いの?神隠しのこと?」

進めていた歩を止め、雲雀は訊く。
雲雀が立ち止まったため必然、綱吉も立ち止まることになる。

「そう、です…」

まさかあと雲雀さんも怖いんです。などと言えるわけもない。

「ふーん。……じゃあ一つ教えてあげる」

「はぁ…」

「神隠しは事実、あるよ。白い手もあるんじゃないかな」

「今ここで言います!?」

恐怖を煽るだけである。

「あるとわかった方が怖くないでしょ?」

「怖いですよ!!」

そう訴える綱吉の目はすでに涙目だった。
それに雲雀は首を傾げる。
一応、親切心で教えたのだが逆効果だったらしい。

「だいたい、事実って…確かに怪談は過去のものが伝わった風だったけど…白い手なんて…」

雲雀が話した怪談は話しぶりから過去にあったことを伝えているような感じだった。
それでも、怪談と言うのはだいたいは作り話だ。
必死にそう否定する綱吉だが、ようは事実だなんてこれから行く場所なのにたまったもんじゃない、ということだ。

「だから事実だって」
 
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ