ショート・ストーリー

□ショート・ストーリー
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諦める (木→日リコ)

「俺ら、付き合うことになった」

ウィンターカップが終わり、その三日後。俺は日向からそう聞かされた。
日向の隣にはリコがいて、二人は幸せそうにはにかんでいた。

「まぁ、一番に報告するんだったらお前かなって思ってよ」

「鉄平にはいろいろ助けてもらったりしたからね」

わかっていた。日向はリコのことが好きなんだって。言葉て表さなくてもなんとなくわかった。
だって俺は日向のことが好きだったから。

「そっか。おめでとう!にしても驚いたよ」

好きだった。ずっと。けれどこれは決して伝えてはいけないんだろうと、わかっていた。
この気持ちは諦めないといけないんだって、ことぐらいわかっていた。
だから、俺はこの気持ちに蓋をして、笑顔で祝福をした。
けれど、諦めたくても諦めきれないこの気持ちは、どうしたらいいんだと。
そう、心の中で叫んでいて。
諦めの悪い自分に、思わず自嘲した。



015/08/24
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