華麗なる腐女子日記
□誠凛
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やぁ、皆さん、最近自己紹介のときに言う言葉が無くなってきて焦ってる小野原悠伽です。
「やってきたぜ、誠凛!いやっはー!」
「いつになく壊れているが、どうしたのだ?こいつは」
「何でも誠凛は腐女子にとっては宝の倉庫なんだとか」
「最低だな」
後ろで何やら真ちゃんと和ちゃんが話していたが、気にしない。だってさ楽しみだったんだもの。
「あれ!?秀徳さんもう来てたの!?」
誠凛に向かう最中、驚いたような声が聞こえ、続いてワン!と犬の鳴き声が聞こえた。
「あ、小金井さんに水戸部さん」
犬の散歩だろうか。二人で仲良く散歩ってほほえましいよね。
「かわいいですねー。名前何て言うんですか?」
「テツヤ二号だよ。二号って呼んでるけど」
「テツヤ、二号…」
なぜだろうか、黒子君が犬耳と尻尾装備で火神君に迫っている妄想を一瞬でしてしまった。
「へぇ〜、テツヤ二号ですか」
私はテツヤ二号君の頭を撫でようと手を伸ばした。
噛まれた。
「手がー!!」
がぶりと噛まれた手。私は涙目で助けを求めようと真ちゃんと和ちゃんを見たが、二人は何やらイヤホンを共同で使い、音楽を聞いていた。
実においしい場面だけど、実に薄情だと思った。
「……!」
「こら!二号!」
水戸部さんが慌てて二号君と私を引き剥がし、小金井さんは二号君を叱った。水戸部さんが心配そうに私を見つめた。
「………?」
「え、何?」
「大丈夫かって聞いてるよ」
なぜにわかるし。二号君を叱り終えた小金井さんは通訳をしてくれた。以心伝心だね!
「にしても三人だけ?」
「ああ、誠凛は近いから現地集合何です。早く来たのはなんかおは朝で指定した時間に電車に乗ると運気が上がるらしくて」
おは朝はついに時間さえも占いの幅に加えたのだった。ちなみに蟹座は13位と最下位だった。
「そうなんだ」
「………」
「そうだね。じゃあ俺ら、二号の散歩の続きあるから」
「はい。なんならついていきますよ?」
そしてあばよくば二人のほのぼのカップルぷりをこの目に焼き付けたい。
私の考えがわかったのか、音楽を聞いていたはずの真ちゃんがチョップしてきた。
「あはは。いいよ。んじゃ、また試合でねー」
小金井さんはにこやかにそれはもう可愛らしく笑うと水戸部さんと一緒に、散歩の続きをした。
徐々に遠くなる背中。小金井さんがふざけて水戸部さんの背中に乗ったり、楽しそうに話している。水戸部さんの瞳はどことなく慈しみに溢れていて。
「よし」
私は一つ頷いた。
「尾行しますか」
真ちゃんからはアイアンクロー、和ちゃんからはお腹に右ストレートを決められました。
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