大江戸恋絵巻

□大江戸恋絵巻
1ページ/7ページ






「……い…起きろ…」








『ん…龍太…あと5分だ…け…』





まだ覚醒してない頭でぼんやりと口を動かす





「何を寝ぼけた事を言っている。早く起きろ」



はっきりと聞こえた低い声に重い瞼を開ければ




メガネと鋭い眼差しが視界に映った





『っ!…か、春日局…さま』




勢いよく起き上がる





「ようやく目覚めたか」




呆れ気味の声を聞きながら



辺りを見渡す






やっぱり



夢じゃなかったんだ…





広い和室もこの人達も


目が覚めたら全部戻ってるなんて――





「聞いているのか?」



『えっ…ハイっ』



我に返って前を見据えれば



春日局様はメガネを押し上げる






「貴方には上様…家光様の影武者になって頂く」



『………え!?』




驚き目を見開いた




『む、無理ですよそんなッ…私が影武者なんて…絶対に無理ですっ』



声を張り主張すると





「ならば、貴方を罪人として捕らえるまでだ」


『っ!?』




返って来た言葉に息を飲んだ






春日局様は顔色を変えず続ける




「素性の分からぬ者が上様の部屋に侵入したのだからな。その罪は重い」




.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ