大江戸恋絵巻

□大江戸恋絵巻
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さっき自己紹介したばかりの見ず知らずの男の人の前で脱げって?




いや、稲葉はすごく良い人だと思うけど




異性の前で下着姿になるなんて……






人生でまだ一度も経験してない事なのに!!







「小姫様?」



稲葉が不思議そうに問いかけてくる





『あのっ…自分で着るから!』



「え?でも…着方お分かりになるんですか?」




ごもっともな返し





夏祭りの浴衣とは訳が違う





それでもズラリと並ぶ一式の中から



一番薄い白の着物をわし掴む





『消去法で言ってコレだよね!とりあえずコレ着るからっ…ちょっと後ろ向いてて下さい』


「小姫様敬語に…」



『う、し、ろ、向いてて!』





有無を言わさず肩を押した










「――小姫様。着れましたか?」



『う、うん…』




振り返ってこっちを見る稲葉に



着たばかりの着物の裾をぎこちなく掴む






「では、次はこれに袖を通して下さい」




言われるがまま小袖を着ると



稲葉が帯を巻くために腰に手を回した





男の人に着替えさせてもらうなんて



上様には当たり前でも



私には難易度が高すぎる…






『っ…お、帯も自分で…!』



堪らず声を上げた時



襖が開いた


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