大江戸恋絵巻
□大江戸恋絵巻
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「もちろん二人きりの時は…永光と呼んで下さいね、小姫さん」
『っ…』
まっすぐ見つめる眼差しに
目を逸らせず固まっていると
「もしやそこに居るのは上様!?」
聞こえた声と共に
一人の男が駆け寄って来た
紫の羽織りにお坊っちゃま風の髪型
「こんな所で上様に会えるなんて感激です!」
友好的な態度に何だか親しみを感じていると
突然手をギュッと握られた
思わぬ行動に微かに顔を赤らめる
「なんて小さくてきめ細やかな肌なんだっ…」
まるで頬擦りしそうな距離で呟いて
「先日購入した壷も上様のように滑らかな肌触りで…良かったら今から僕の部屋に見に来られませんか!?」
『えっ…と…』
いきなりの誘いになんて言おうか考えていると
「すみませんが紫京殿。上様はこれから私と茶道の稽古がありますので…」
永光さんが横から助けてくれる
「お万の君と?それならば仕方ないか…」
「上様今のうちに」
耳打ちするように小声で言うと
歩き出した永光さんに続く
「あ、上様!今度是非、僕の部屋で壷について語り合いましょう!!」
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