Buche de Noel(main)

□同族嫌悪
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それは偶然だった。

昼下がり、人が混む時間帯を狙いボクは街にやってくる。目的は人間観察。理由は面白いからだ。賑わう広場にあるのは、何も笑顔だけではない。聞こえてないフリをする者、無視されて苛立ちを見せる者。ボクにはそういった負の感情が視える。闇に属する存在だからなのだろうが、それが中々に滑稽だった。そら、男の影にあった闇がずるりずるりと形を成していく。

「いい加減にしろよ!」

女の腕を捕らえたとともに、闇の口が開いた。欲しい、寄越せ、今すぐ、もごもごと漏れる欲望。予想はしていたが、聞きたくはなかったメフィレスは込み上げる嫌悪感に皺を寄せる。浅はかな感情は、ただの欲の塊でしかないのでつまらない。己が見たいのは純粋な心の影だ。知らぬ間に落としているような、黒い影。

「おや?」

そんな時、横切っていった人影にボクは反応した。白くもなく、けれど黒になりきれてない闇を。それは形になることもなく影の中に燻っている。

「これにしよう」

興味を持ったメフィレスは、楕円の形をした影へと入っていった。



「ただいま帰ったぞ!」
「おかえりなさい、エッグマン様!収穫はあったんだじょ?」
「うむ。なーんもなかったわい」
「それじゃ意味ないんだじょ!」
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