Buche de Noel(main)

□広がる世界
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「これは…!」


事件はこの一言から始まることになる。










買い物からの帰り道、探検も兼ねて昨日とは違う道を通っていた。鳥達がたくさん留まる木がある、あそこのベンチからは見る夕日は綺麗、そんな小さな発見でいい。この新鮮さがとても楽しくて。シルバーは今日も街を歩き回っていた。

『WDマシーンテーマパーク、新しく開園!』

電機屋の前を通ったとき、耳を掠めたフレーズに足が止まる。テレビの前へ戻ってみれば映る楽しそうな表情の人々。

「へー、なんか面白そうだな」
「アンタ、興味あるのかい?」

声をかけてきたのは、お店の主人であろうキツネの女性だった。俺は咄嗟にあいさつする。

「こ、こんにちわ」
「はい、こんにちわ。ふふ、礼儀正しい子だねぇ」
「いや、そんな…。この建物って、こんなに人が笑える程楽しいものなんですか?」
「楽しいねぇ。若い頃はよくいったもんだよ。遊園地、行ったことないのかい?」
「はい。…そんな余裕もなくて」
「そうなのかい…なら、調度よかったのかもしれないわ」
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