〜Do you know...?〜
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朝からひと騒ぎあったが登校する時間になってしまった
不本意ながら(まぁでも前から男装したいと思っていたから良しとするが)キチンと学ランを身につけ玄関先へ向かう
『いってきます』
開口一番に笑われるだろうなという玄関先に立っているであろう幼なじみ様への思いを胸にしまいこみドアを開ける
「ぶほぁっ!や、やっぱり期待を裏切らないね!!」
千歳のピシッと着こなされた学ラン姿を見たかとおもえば学生カバンを持っていないほうの手で口を押さえ、込み上げる笑いを隠そうとする穂香
『予想通りの反応ありがとう。文句なら俺の母に言ってもらいたい』
心の全くこもっていない感謝の言葉を放った千歳の額にはうっすらと青筋が浮かんでいる
「まぁまぁそんな怒んない!てか学ラン似合いすぎめっさカッコいいし、下手すればそこら辺の男よりイケメンだよ?」
『それは一応女として喜んでいいか悩みどころだな』
まぁ普通に嬉しいが
「そんなことよりおはよーちーちゃん!早く行こーよ!!」
『…あぁ、おはよう』
ニコッと笑った穂香に返事を返して、朝、母さんから貰った秀徳高校までの地図を取りだし歩きだす
『朝さぁメッチャ大変だったんだ』
「あぁ制服?」
『それもあったけどそのあとさ……』
* * * * *
『え、ちょ、母さん出張って!?』
「やだこの娘本当に忘れてる!」
「旅行会社の仕事でアメリカからスカウトされたから、行くのどうしよう?って聞いて、行ってきなって言ったの千歳よ?」
「あと来週から男装喫茶にアルバイト行くっていってたわ。何でも母さんがアメリカ行ってる間は自分で生活していくとかなんとか……。」
『なん…だと……!』
* * * * * *
『ってな事がありまして』
「うわぁ…御愁傷様」
お互いに何で秀徳に入学したのかとか話したいことは山ほどあったが時というものは早いもので朝の出来事を説明しているうちに秀徳高校にたどり着いてしまった
「ヤバ…なんか緊張してきちゃったかも」
『まだ真ちゃんとか高尾ちゃんに会える訳じゃないのに?』
「いやっ!絶対会えると信じてるよウチは!!!」
秀徳高校入学式とでかでかと書かれた看板の前で立ち止まり興奮する二人
顔にはでていないが千歳も内心すごい緊張している
「つかあそこに人だかりできてんのもしかしてクラス発表かな?!!!」
そう言った瞬間走り出す穂香
『あ、おい!って早っ!!』
『ったくしょーがねーな』
穂香の相変わらずの突発的な行動にため息をつき、風のように走って行った幼なじみ様のあとを追いかけようとした
と、そのとき
「アンタもしかして帝光中No.1シューターの緑間真太郎??!」
「だったらなんなのだよ?」
ピタッ
毎日アニメでよく聞いていた声に思わず歩き出そうとした足が止まる
『(この声はもしかしなくとも……!)』
「うっはーマジか!あっオレ高尾和成っつーんだ!ヨロシクな」
やっぱりかーーー!!
え、ちょっと待て高尾たちも入学式に来てるってことは俺もしかして緑間っちと高尾んの運命的出会いの瞬間見ちゃってるワケ?!
ちょ、穂香、って遠っ!こっち気づけ!!今まさに真ちゃんと高尾のラブストーリーが始まろうとしているぞ!!
「高尾和成……お前の名前なら知っている」
「え、マジで?!!キセキの世代に名前知って貰えるとかオレ結構有名」
「お前のパスは人事を尽くしたパスだったのだよ」
初対面でデレたー!!!やっぱり真ちゃんにとって運命の人だからかっ!?つかオレもうここで死んでもいいわ
「まぁ顔はよく知らんが」
「ひどっ!俺のプレー見てくれてたんじゃねーの?!」
「?なにをいっている。プレーと顔は関係ないだろう」
なにこの天使!さすが高尾の嫁!!純粋だっ!
あぁ、超幸せ……!生でこのやりとりを見れるとは我が一生に一片の悔いなし……!
「ま、これからヨロシクな真ちゃん!」
「な、なんなのだよその変なあだ名は!」
「いーじゃん別に〜かわいいと思うよ、俺は?」
「やめるのだよ!!」
嗚呼母さん、穂香、俺は高校生活で死んでしまうかもしれません(萌え的な意味で)
end