〜Do you know...?〜

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『なぁ、ホントに入るのか?こん中に…!』



「入るしかないっしょ!」



俺らは今、女子更衣室の前に立っている。

中からはきゃっきゃと女子特有の声が聞こえてくる。





「よし、行くよ〜」


『マジかよ…』

最初は俺も乗り気だっただが、学ラン姿の俺らの格好で入っていったら間違いなく変態扱いされることに気付いたため、若干テンションが下がっている。






そんな俺の不安も露知らず、ほのは更衣室のドアノブに手をかけた。





コンコン




ガチャッ




「失礼しまっす…」


『失礼します…』


俺ら二人は申し訳なさそうに女子更衣室へと入っていった




「黒田君に白藤君?!」



俺らが入ってきたとわかると急いで服を着るクラスの女子




「なんでこんなところに?!」


「まさかの変態…!?」


「でも、二人になら私見られてもいいかも…!」


「私も…」



ざわざわとざわめきが起きる。

やっぱり変態扱いは逃れられなかったか…

てか、今聞き捨てならんことが聞こえたぞ
もっと自分を大切にしなさい!女の子なんだからもっと恥じらいを持ってだな…!






『あー、実は俺ら皆に言ってなかったことがあったんだ…』



「ウチら実はね…」




















「『女、なんだ…』」










「「「「「え?」」」」」


『これには事情がありまして…』

******


いきなりの事実を述べて、困惑する上にまた、説明するのは気が引けたが、男ではないことを証明するため、きちんと事情を話した。


もちろんトリップしたとかの話はしていない。

話したのは俺のお母さんがやらかしたとかそーゆー類いの話だ。

ほのについてはなんとか誤魔化した。……なんとかって何かって?なんとかはなんとかだ。まあその…察しろ!






「そんなことがあったのね…」


一通り話したあと、女子のリーダー的存在の子が口を開いた。






「騙したみたいになってごめんね…」


「「「「「キュンッ」」」」」


ショボーンとするほのにどうやら母性本能をくすぐられたようだ。




『言い出すにも中々機会がなくてな…女だってこと隠すようになってしまって、皆を驚かせて本当にごめんなさい…!』


深々と謝罪の意味を込めて頭を下げる俺。




『こんな俺らでも今まで通り、普通に接してくれると嬉しい…』






困ったように眉を少しさげ弱々しい笑顔をする千歳。

本人はなにも狙ったつもりはないのだが、クラスの女子たちは見事心を撃ち抜かれてしまったようだ。




「もちろん!」


「それぐらいで嫌いになるわけないよ!」


「そーそー。それに同じ女の子同士なんだからさ、これからもっと仲良くしよーよ!」


「男装少女ね…萌えるわ!」





軽蔑されるんじゃないかという俺の不安とは裏腹に、あっさりと受け入れてくれた。最後若干場違いな言葉が聞こえたけど



『ありがとう…みんな…!』


「ちーちゃん、ウチら幸せ者だね!」


『ああ…!そうだな』




普通だったら敬遠してもおかしくないのに…優しい人ばっかだな……




『…うっし!決めた!』


「いきなりどーした、ちーちゃん?」


『俺、受け入れてくれた皆に恩返しする!』


「恩返し?」

『そう。皆なにか困ったことがあったら俺が助ける!相談でもいいし、男子から守るボディーガードでもいい。』


「黒田君…じゃなかった、黒田さんそこまで気を使わなくてもいいのよ?」


「そうそう!これぐらいクラスメイトとして当たり前だし!」



『…ありがとう!でも、俺そんな優しい皆の為になることをやりたいんだ』

『皆にはずっと笑ってて欲しい…だから少しでも力になりたいんだ。ダメ…かな?』


「ううん!そんなことない」


「むしろ嬉しいよ!」


『!そっか、良かった…』


「ウチは恩返しに参加はしないよ〜?もっと別なことで役に立ってみせるし!」

『ったりめーだろ!もし、お前がケガしたらどーすんだ。

もし、ボディーガードでもしてほのを傷つけたら真ちゃんに示しがつかねーだろうが

なーんて偉そうに言ってるけど俺、特別喧嘩強い方でもねぇけどな




『お前は今まで通り、黙って俺に守られてろ』


「ちーちゃんおっとこまえー」


『?わけわからん。ふつーだろ?』


か弱い女子を守るのは俺のモットーだ!



「黒田さんってカッコいいわよね〜」


「ツンデレ王子って感じかしら?」


「ねぇねぇ!千歳君って呼んでもいい?」


『?いいけど…』


「白藤さんは穂香ちゃんって呼んでもいいかな?」


「おけおけ、いいよ〜」

「それにしても、ちーちゃんモテモテだね〜
一気にクラスの王子様的存在になってるよ!」


『王子って…俺そんな柄じゃないんだけど』


『でも、こんなカワイイお嬢様方の王子なんて超幸せじゃね?』


役得役得と微笑みながら言う千歳に



「「「「キャーッッ」」」」


『おうふ!?』

黄色い悲鳴が上がった



「ちーちゃんの天然たらし〜」



『失礼だな、おい』


本人は無自覚です



「ハッ!てかウチら早く着替えないと!!」


『忘れてた!皆、先に行ってていいよ?』


「大丈夫!二人のこと待ってるよ。」


「どーせ遅れて怒られるなら皆での方がいいし!」


「そうそう!」


『…そっか!』



皆の優しさに涙が出そうです!優しくていい子ばっかりだな…!嫁に来て欲しいよ!



*****



一方そのころの高尾たちは



「なー真ちゃん。二人共遅くね?」


「俺には関係ないのだよ」


「またまた〜素直じゃないんだから!ホントは心配してんだろ?」


「そんなわけないのだよ…!」


「女子のコートにも誰もいねーし。なんかあったのか?」

******





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