〜Do you know...?〜

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放課後。


「おーい、白藤早く行くぞ?」


「…」


「まったく離れる気配がないのだよ」


『あはは…』


朝の出来事があってから一度も離れなかったほのは、まだ俺の首に手を回して抱きついていた。


「なぁ、部活行こうぜ?」



やんわりと誘っても勢いよく首を横に振り、俺の首元に顔を埋めるほの。
まるで、飼い主に甘えるペットのようだ。


『ほの〜?俺そろそろバイト行かないと。』


「白藤、ちーちゃんも困ってるしさ?そろそろ部活行こうぜ〜
早くしないと宮地先輩辺りに怒られるって」





高尾が諭してもまったく動く気配がない。と言うか逆に離れにくくなっていく


『高尾。真ちゃんと先に部活行ってて』


「え?でも」


『大丈夫大丈夫。ちゃんと部活始まる前には行かせるからさ?』


「ちーちゃん、バイトの時間遅れない?」


『ダッシュすればいけるだろ?』


「高尾、白藤のことは黒田に任せるのだよ。それが最善の策だ。」


「…真ちゃんがそこまで言うなら?じゃ、ちーちゃん頼んだよ」

『はいよ』


高尾はこちらに手を振りながら教室を出ていき、真ちゃんは足早に教室を出ていった。
早く練習やりたくてウズウズしてんのかな?




『んで?穂香ちゃんはどーして離れたくないのかなー?』


二人が教室を出たと同時ぐらいに話を持ちかける。



「…だって」


『だって…なに?』



「…離れたらちーちゃんまた朝みたいなムチャするでしょ?」


抱きつかれているため表情は見えないが、口調からして拗ねていることが読み取れる。


『んなことしねーって。』


「うそだ」


『ホント、ホント!俺が嘘つくように見える?』

「うん」


『即答かよ』


『ま、とにかく?今日みたいなことに毎回遭遇するわけじゃないし、毎度毎度面倒ごとに首突っ込むほど俺も馬鹿じゃないから大丈夫だって!』


「ホントに?」


『ああ。そんなに信じられないってんなら賭けてやってもいいぜ?』


「なにを?」


『んー?今度またムチャしたらほののいうことなんでも一つ聞く…とか?』


「!言ったね?!」


『へ?』


「絶対だからね!!」


『お、おう?』


いきなり元気になりすぎじゃありませんかね穂香さん?さっきの弱々しい態度はどこいった



「よし!そうと決まったら部活へGo!って、ヤバッ!あと数分で部活始まるじゃん!?」


『ハハッ頑張ってー。さて、俺はバイトに行こうかな、』


「なに言ってんの?ちーちゃんも行くんだよ!」


『え、なぜに?』


「もし部活開始時刻までに間に合わなくて怒られそうになったときの弁解役としてちーちゃんにはついてきて貰わなくては困るのだよ!」


『いや、それ俺関係ない…つーか部活遅れないように全力で走れよ』

今こうして話してるのも時間の無駄だと思うんだが


「うん。だからちーちゃんも走るんだよ?」


『うん。だからの使い方間違ってるな。』


「とにかく!ちーちゃんも行くの!!」


『えー俺バイト「いいから!」おわっ?!』


俺の反論を若干強引に遮ったかと思えば、いきなり俺の手を引き走り出すほの


「いっそげーー」


『ちょ、コケるコケる!しかもなんでそんな楽しそうなの!?』


「ふはははははー私は風になるのだ〜!!」


『もうワケわからん』



そのあとも全力ダッシュしながら体育館への道のりを急いだ。
それはもう、廊下ですれ違ったいつもの三人組に「あら、二人で愛の逃避行?」「黒白?」「白黒?!」という声を訂正する暇もないぐらいに。
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