Treasure

□キスマークに所有印(小説)
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キスマークに所有印












「身分なんて関係無い。
性格と、メイドとして頑張っている姿に惹かれたんだ。下心の無い純粋な笑顔で俺がどれだけ助けられているかなんて、お前が一番知っている筈だろう?」

「…そうですけれど、旦那様には私よりももっとお似合いのお方がいらっしゃるはず、っきゃあ!」







何度もそう言っているのに、何故否定するんだ。本当は俺のことを好きでは無いんじゃないかと、ふつふつと何かがこみ上げてきて 無意識にソファへと押し倒していた。焦りの表情のポーラが、下でバタバタと動いているけれど今更止める気は無い。頭の悪いポーラが悪いんだと、子供みたいな言葉が頭の中で響く。
メイドだからとなりに気を使っているのか、ぽてっとした桃色の唇に自分の薄いそれを合わせ 段々と深くしていく。キスなんてポーラ以外とはしていない。これを言ったら、お前は俺の隣を歩いてくれるのか。…なんて。欲まみれなその思考に嘲笑いながら、服を脱がして行く。するりとボタンを取れば、可愛らしい容姿に合わない豊満な双丘。白い肌が彼女の性格を表しているようで。唇を離して鎖骨に一つ、紅い印を付ければ 彼女は息を荒くして大人しくなっていた。その目は蕩けていて 彼女は何時も俺を煽るのが上手い。







「欲しい 」

「…旦那さまは、ずるい、です」

「嫌じゃないだろう?」

「…はい、…んっ…ぁ!…そ、こ…、」

「…愛してる。」







誰にも取られないように。なんて、今此処には俺とポーラしか居ないのに独占欲をだしている自分に、此処まで溺愛していたのかと苦笑い。
指輪は彼女の事だから、仕事上付けられないと言ってくるだろうと思ってまだ買っていなかった。だからその代わりに、華奢な左手の薬指にちいさく口付ける。試しに吸えば何とか紅い印がついていて、内心大満足だ。







「そ、そそそそんな所恥ずかしいです!!旦那様!」

「指輪の代わりだ」

「!ゆ、びわ…」







目を見開かせたかと思えば、そわそわと俺の左手を掴み見つめ始める。彼女の奇行には慣れたものの、次何をするかなんて分からない。だが害は無いと分かっているから 何時も放っている。

左手首を持ち、薬指をつまんだ所で困ったように眉を八の字にさせていたのが、 何か決心したようにギュッと目を瞑って 俺の左薬指に一瞬だが、お返しとでもいう様に小さく 口づけをした。それはもう一瞬すぎて、余韻に浸ることも出来ないほど。少し物足りない気もするけれどポーラからのスキンシップ何てそうそう無い。これ以上を求めたらきっと彼女は死んでしまうだろう。冗談じゃないから怖い所だ。

自分の顔を両手で覆い尽くす彼女の顔は、隙間からでも分かるほど真っ赤で。ありがとう、と意味を込めてその綺麗な髪にリップ音を落とせば プシュウっと頭からマヌケな音が聞こえた。







ーーーーーー
(死んじゃいます…)
(俺に殺されるなら本望だろう)

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