Treasure

□蜜より甘い夜(小説)
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「楽しかったわね! チャールズ!」

一日目の観光が終了し、ホテルの部屋へ入るリジーとグレイ
荷物をテーブルに置くと後から入って来たグレイが軽い溜め息を吐く

「リジー、まだ一日目だよ? 初日であんなにはしゃいでたら一週間保たないよ」

「大丈夫よ! まだまだ遊び足りないくらいなんだからっ!」

「…………」

はしゃぐリジーにグレイははぁ… と溜め息を吐く
それにリジーは軽く首を傾げる

「どうしたの、チャールズ? チャールズは楽しくなかった?」

「あ、いや 楽しかったよ? 楽しかったんだけどさ…」

グレイはポリポリと頬をかく
そして小さくなんだかなー と呟く

「チャールズ?」

「…ねぇ、リジー 食事部屋でとらない?」

「レストラン行かないの?」

「駄目?」

「駄目じゃないわ、良いわよ!」

「じゃ、電話するね」

グレイは部屋の受話器を取り、フロントに繋げた

「あ、もしもし? 407号室なんだけど、部屋で食事とれる? …うん、じゃあお願い」

ガチャと受話器を置く



暫くするとカートを引いて食事の係員が部屋に入って来た

「あら、美味しそう!」

「ではごゆっくりどうぞ」

「ありがとう!」

係員は二人に一礼して部屋を出て行く

―パタン

「美味しそうね、チャールズ」

「そうだね、食べようか」

「うんっ!」

カチャ… と二人はフォークやらナイフを手に取り、食事を始める

そして何となく気まずい空気にリジーは気づく

「(さっきからチャールズ、どうしたのかしら…?)」

今思えば観光中もグレイは元気がなかった気がする

そんなことを考えているとグレイが口を開く

「ねぇ、リジー」

「何?」

「明日はさ… もう少し人混みの少ないところ行かない?」

「えっ? …あ! もしかして今日、人混みで疲れちゃった?」
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