novels.(grey×lizzy)
□Sweet Lady〜瞳に恋して〜
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「Sweet Lady〜瞳に恋して〜」
※「lunatic gate〜はじまり〜」の続編になります。
「こんばんは、グレイ伯爵!」
「お元気でしたか?伯爵、今夜も素敵なお召し物ですなあ・・・」
「ああ、ありがとね」
ボクはそっけなくそう返事する。まぁったく、思ってもないことよく言うよね。
貴族たちの堅ッ苦しいあいさつに正直うんざりしていた。苦手なんだよね、ボク・・・こういう堅ッ苦しいのとか、礼儀正しいの。フィップス(アイツ)は大好きだけど・・・。
3日前に、ミッドフォード侯爵から招待状が届いた。ダンスパーティーの招待状―。別に行かなくてもよかったんだけどまぁ・・・せっかくもらったんだし、あのお嬢様の顔でも見に行ってみるか―と思ってこうしてビシッとタキシードに身を包みここに来ている。
すぐに帰るつもりではいたんだけど、なかなかそういうわけにもいかないんだよなぁ。
「はーあ・・・なんか小腹が空いた」
ボクはそう呟くと、テーブルに置いてある数種類の美味しそうな果物の中から葡萄を2房取った。
「・・・っ!おいしーい、これ」
一気に2房食べ終え、次は林檎・・・と手を伸ばそうとすると―
「グレイ伯爵」
「・・・・!」
いきなり声をかけられたので、思わずびっくりしてそっちの方を見た。
「あ、ああ・・・レディ・エリザベス。今夜はお招きいただきどうもありがとう」
ちゃっかり林檎だけは貰い、それをササッと後ろに隠してニッコリと笑う。
「いいえ、あの―」
もごもごと口篭っているエリザベスをじーっと見つめた。
ピンクが好きなんだな、フリフリドレスとか、リボンとか・・・こういう時はもっと大人っぽいドレスでもいいと思うけど・・・まぁ似合ってるからいいか。
「あの、グレイ伯爵・・・」
「なに、どうしたの?」
エメラルドグリーンの瞳が、落ち着きなく動いている。