novels.(grey×lizzy)

□Sweet Lady〜瞳に恋して〜
1ページ/2ページ

  「Sweet Lady〜瞳に恋して〜」

 ※「lunatic gate〜はじまり〜」の続編になります。



「こんばんは、グレイ伯爵!」

「お元気でしたか?伯爵、今夜も素敵なお召し物ですなあ・・・」

「ああ、ありがとね」

ボクはそっけなくそう返事する。まぁったく、思ってもないことよく言うよね。
貴族たちの堅ッ苦しいあいさつに正直うんざりしていた。苦手なんだよね、ボク・・・こういう堅ッ苦しいのとか、礼儀正しいの。フィップス(アイツ)は大好きだけど・・・。

3日前に、ミッドフォード侯爵から招待状が届いた。ダンスパーティーの招待状―。別に行かなくてもよかったんだけどまぁ・・・せっかくもらったんだし、あのお嬢様の顔でも見に行ってみるか―と思ってこうしてビシッとタキシードに身を包みここに来ている。
すぐに帰るつもりではいたんだけど、なかなかそういうわけにもいかないんだよなぁ。

「はーあ・・・なんか小腹が空いた」

ボクはそう呟くと、テーブルに置いてある数種類の美味しそうな果物の中から葡萄を2房取った。

「・・・っ!おいしーい、これ」

一気に2房食べ終え、次は林檎・・・と手を伸ばそうとすると―

「グレイ伯爵」

「・・・・!」

いきなり声をかけられたので、思わずびっくりしてそっちの方を見た。

「あ、ああ・・・レディ・エリザベス。今夜はお招きいただきどうもありがとう」

ちゃっかり林檎だけは貰い、それをササッと後ろに隠してニッコリと笑う。

「いいえ、あの―」

もごもごと口篭っているエリザベスをじーっと見つめた。
ピンクが好きなんだな、フリフリドレスとか、リボンとか・・・こういう時はもっと大人っぽいドレスでもいいと思うけど・・・まぁ似合ってるからいいか。

「あの、グレイ伯爵・・・」

「なに、どうしたの?」

エメラルドグリーンの瞳が、落ち着きなく動いている。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ