novels.(grey×lizzy)
□Melty Kiss
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「Melty Kiss」
「いい天気だなー、今日は・・・」
馬車の小さな窓から見えるよく晴れた外の景色をじっと眺めていた。子供が無邪気に遊んでいる・・・ピクニックに来ている家族とかもいる。
「あー・・・ボクも遊びたいな」
ボソッと呟き、窓の外から見える子供たちを羨ましそうに見ていた。だいたいこんなのどかな晴れた日に、仕事なんかする気になれないし・・・。
「はーあ・・・」
深く溜息を吐いて、背もたれにドサッともたれかかった。
「あーあ、サボっちゃいたいなあ、退屈な会議なんか」
頭をポリポリ掻きながら、もう一度身体をムックリと起こして窓の外を眺めた。
すると―・・・
「あれ?」
誰かが剣の稽古をしてる・・・しかもなんか見たことのある―
「ちょっと君ッ、馬車止めて!」
馬車の窓を開け、大声で従者に声をかけた。
「え、でも伯爵・・・お時間が―」
「いいんだってば、早く止めてよ」
少しイラつきながらボクはそう言う。
「は、はい・・・」
従者はしぶしぶと馬車を止めた。
「は、伯爵・・・時間までには―」
困った顔で彼は馬車のドアをそっと開けた。
「分かってるよ、じゃっ」
フン、戻るかどうか分かんないよッ。腹の底でそう思いながらボクはニッと笑った。後のことなんか考えない、今のことしか―。
「あー!外はほんっとに気持ちいいなー」
春の日差しがキラキラと降り注いでいる。木々の緑もキレイだし、花もキレイだし。ボクはウーンと大きく背伸びをすると、さっきの剣の稽古をしている子の所へと足を早めていく。
カキンッ、カキッン!カーンッ、カキィン!!
「うっわ!」
ドサッ!
「あ、お兄様!大丈夫?」
「ああ、大丈夫だよリジー・・・。やっぱりお前には歯が立たないな、また強くなったんじゃないのか?」
「・・・・」
「あ!ああ、悪いリジー・・・つい」
「ううん・・・」
―やっぱりね・・・。ボクはフッと小さく笑った。
「やあ、君たち。この間はどうも」
「え・・・?」
「あ・・・」
二つのエメラルドグリーンの瞳が一斉にこっちを見る。
「熱心だね、レディ・エリザベスにそれから・・・」
「あ・・・これはグレイ伯爵。俺はエドワード・ミッドフォードです」
深々と丁寧に頭を下げてくる。
「いいよ、そんな頭下げなくって。いい名前だね、エドワードそしてエリザベスか・・・」
フフッと笑み、エリザベスの方を見る。