novels.(grey×lizzy)
□Jelous
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「Jelous」
※グレイ視点。R-18ありです、ご注意を。
―退屈な夜だ・・・ボクは心の中で深い溜息をついた。
「・・・グレイ伯爵、本当にダンスがお上手ですわ」
「そう?ありがとう」
ダンスの相手をしているご令嬢様にニッコリと微笑みかけた。我ながら演技が上手いよね・・・心では溜息ばかりついているのにさ。
「・・・・っ///」
お相手のご令嬢様は、ボクに微笑まれてかなり意識しちゃってるけど。
つまんない・・・早く終わらないかなぁ、この長ったらしい音楽―ボク探したいコがいるんだから。
―心ここにあらずでダンスをしていた。話しかけられても上の空で答えていた・・・もう!苦痛だなぁ、笑顔無理やり作るのも。
やがてやたらと長く感じた音楽が終わり、ご令嬢様が顔を赤らめてボクに行儀よくお辞儀をする。
「楽しかったですわグレイ伯爵。あの・・・よろしかったらまたいつかお相手を―」
「ええそうですね、いつかまた―」
ニッコリ。
ポーッと見惚れている彼女に、ボクはサッと背を向けた。
フン、永遠に来ないよそんな日・・・あぁ疲れた、だからこういう夜会は好きじゃないんだ。
「・・・・」
ボクは、各国から集まった貴族達でガヤガヤと賑わう大広間を注意深く見回した。
「あ〜・・・もう、これじゃぁ分からない―」
プロンドの巻き毛にエメラルドグリーンの瞳・・・似ているコなんてたくさんいるから、こんな人込みで見つけるのは難しい。
「はーぁ・・・」
来ていないわけはない・・・こんな大規模な夜会に―いつしかボクは真剣になって探している。自分でも可笑しいと思うくらい、会いたくて仕方ない・・・その唇にキスしたい。
「リジー・・・」
ボクは小さくその名を呟いた。それで人込みを掻き分けて行こうとすると―・・・
「あ、こんばんはグレイ伯爵」
「いい夜ですなぁ、伯爵」
「まぁ、グレイ伯爵だわ・・・なんて素敵・・・」
貴族達に次から次へと声をかけられる。嫌でも愛想笑いを浮かべないといけないんだよね・・・ホンット疲れる。声かけないでほしいよ。
「伯爵、ますます素敵になられて・・・」
「ああ・・・ありがとう」
顔で笑って心でイラついて・・・あぁ、もうっ!