novels.(grey×lizzy)
□more kiss, more love・・・(挿絵入り)
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「more kiss, more love」
※R-18表現ありです。グレイ視点。
―あの日・・・夜遅くに電話をしたというのにリジーはいなかった。電話に出たのはメイド。どこに行っているのか気になって、まさか・・・って思って聞いてみれば案の定―・・・
『お嬢様は婚約者のシエル・ファントムハイヴ伯爵の家に行っておられまして、まだお戻りになられてないのですが―』
一瞬言葉出なかったよ・・・ねぇ、リジー。
ボクを・・・ボクのことまだ本気で愛してくれてないでしょ?
* * *
「チャールズーッ!」
その声にボクはハッとして顔を上げる。白い日傘と、小さな旅行バッグを持ったリジーが小走りに駆けて来た。
「ごめんなさい、また遅くなっちゃって・・・」
「いいよ」
ボクはフッと小さく笑い、読んでいた本をパタンと綴じゆっくりと立ち上がった。
「まだ汽車の時間までだいぶあるし、近くのカフェにでも入ろうか」
「うんっ!」
リジーは無邪気な笑顔を浮かべながらボクにそっと寄り添ってくる。
「たのしみ・・・手紙をもらったときはびっくりしちゃった、チャールズの別荘に招待してくれるなんて―」
「そう?」
・・・本当は手紙じゃなくて電話で伝えようとしたんだよ、その事。
「長期休暇がもらえたからね、君とスコットランドで過ごしたいなって思ってさ」
「そうなんだぁ」
甘えるようにボクに抱きついてくるリジーがやっぱりカワイイッて思う。
「行こうよ、リジー」
「うんっ!」
カワイイから自分の方にグィッと肩を抱き寄せる。
「・・・・」
幸せそうにボクの肩に寄りかかるリジー。だけど、ね・・・ボクの心は今とっても不満なんだ。そのワケ、分かってるでしょ?
もう、今度こそ本当に許してあげないから・・・ボクの腕に閉じ込めて、二度と離してあげない。