novels.(grey×lizzy)
□Sweetest Sin〜君を誰にも渡さない〜
1ページ/6ページ
「Sweetest Sin〜君を誰にも渡さない〜」
※R-18あり グレイ視点。
―着飾った貴族達が集まるロンドンのホテル。今夜はこの場所で盛大な夜会が開かれる。 もちろん、このボクもその夜会に出席するためにはるばる馬車に乗ってやって来た。 しかも執事武官としての仕事が終わってから―。
ボクがこの夜会に出席する目的はたったひとつしかない。
そう・・・リジーに会うため。
それ以外はどーでもいい。 ま、話しかけられたら一応愛想笑いは浮かべておくけどね。 でもボクが本当の笑顔を見せるのはリジーだけだから。
心がどうしようもなく彼女を求める。
いつだってそう・・・。
今夜はどんなドレスでボクの前に姿を現してくれるの?そしてどんな甘い声で―囁いてくれるの?
* * *
「こんばんは、グレイ伯爵」
「今宵もいい夜ですなぁ、グレイ伯爵」
あー・・・ハイハイ・・・
心ではうんざり、でも顔では一応笑顔。 ボクもずいぶんこの演技が上手くなってきたもんだよ。
そんな自分に微苦笑を零し、ボクはお目当ての人物を探す。
ザワザワとうるさい大広間―ボクはじっと瞳を凝らす。
キレイなブロンドヘアー・・・誰よりも輝く白い肌、エメラルドの瞳。
これだけいれば似たコはいくらでもいる・・・けれど、ボクのお姫様ほど輝きを放っているコなんていない。
「―シャンパンはいかがですか?」
「え、ああ・・・もらうよ」
ボクはシャンパンを一口飲んで、遠くからリジーの姿を探した。
「・・・いないなぁ」
まぁ、すぐに見つかるなんて思ってなかったけどね・・・。
シャンパンを一気に飲み干し、少しこのうるさい空間から離れたくてバルコニーの方に足を早めた。
サワッ・・・とキモチいい風がボクの頬を撫でる。
同時に―よく知っている香水の香りが鼻をくすぐった。
そう、ボクのよく知っている・・・この香り―
「リジー・・・」
みぃつけた。こんな所にいたんだね。
ボクの声と靴音に、今夜の月に見惚れていたリジーは、一瞬ビクッとしてこっちを振り返る。
「チャールズ・・・」