novels.(phipps×paula)
□「never stop loving you・・・」(long)
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「never stop loving you・・・」
※フィップス視点、捏造、R-18ありですのでご注意下さい。
―コンコン・・・
「フィップス様、ポーラです。あの、午後のお茶を―」
ドアの向こうからポーラの声がする。
「―ああ、入れ・・・」
俺は机の上の資料に向けていた瞳をフッと後ろの扉の方へと向けた。
「し・・・失礼しま―あっ、キャァッ!!」
ガシャアァンッ!!ガシャッ!
「―っ、ポーラ?」
―ガタンッ!
何事だ・・・そう思いつつ、ドアを開けば・・・
「―」
しゃがみこんで、割れたカップの欠片を懸命に集めているポーラ・・・。
「あ・・・フィップス様。す・・・すみませんっ!大切にしているティーセット・・・割ってしまいました」
「・・・・」
まったく驚かせるんじゃない・・・なんの悲鳴かと思っただろう。
「本当にすみませんっ!!私・・・次のお給料で弁償させていただきますっ、最も私のお給料で買えるのか分からないけれど、でも―」
俺の顔をチラチラと見上げながら、手は欠片を集めているというより弄っている・・・。
「―手を切るぞ・・・」
「え、だいじょう・・・いった!」
「ああ、ほら・・・」
俺はスッとしゃがみこむと、ポーラの手を自分の方にそっと引き寄せた。
「あ、あの・・・」
「・・・ずいぶんと手が荒れているな」
小さな手指の所々についた傷跡や、新しくできた切り傷を俺はじっと見つめた。
「このぐらいはいつものことですから―」
彼女は笑顔で俺を見る。いつものこと、か・・・。この切り傷の後に、また新しい傷を作るのか?
「大事にしないと駄目だ・・・」
「・・・・」
何も言わずに俯くポーラ・・・その手を唇に近づけ、血をゆっくりと舐め取る。
「フ・・・フィップス様///」
顔を真っ赤に火照らせて彼女はパッと俺を見た・・・けれどその手を引っ込めようとはしなかった。
「―」
俺は傷だらけの、加えて氷のように冷え切ったポーラの両手を自分の手で温めるように包み込む。
「―おまじないだ・・・これで早く治る」
「―はい・・・///」
柔らかな笑顔で、けれど恥ずかしそうに俺を見つめる。その笑顔に、小さく笑みを返した。