novels.(ciel×lizzy)
□ENVY・・・
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「・・・っ思い出したくもない・・・」
けど、この瞳の奥に焼きついて離れない。
「―坊ちゃん、カモミールティーを」
ノックの音と共に、セバスチャンが再び入ってくる。
「ああ、適当な場所に置いてくれ」
僕は椅子にドサッと座った。
「坊ちゃん、まったく手を付けておりませんね・・・」
血色の瞳がキラリと光り僕を睨む。
「・・・飲んだらやる」
「―ただいま、レディエリザベスがいらっしゃいましたが・・・」
「・・・・っ!」
ガタンッ!
「この書類の山では通すわけにはまいりませんね」
「・・・通せ、命令だ」
血色の瞳を、ギッと睨み返す。
「どうしても話をしたいことがある。仕事はリジーが帰ったら徹夜で終わらす・・・」
「―本当ですか?」
「ああ。その代わり・・・」
僕はセバスチャンに近寄って、更にその瞳を睨んだ。
「大事な話だ。リジーと会っている間、誰もこの部屋に入れるな」
何年か前までは見上げていたこの血色の瞳が、今は同じ高さにある。
「いいか、セバスチャン」
「・・・御意」
「・・・・」
僕の心を知っているかのようだ・・・ニッと小さく微笑む。まったく気に入らん男だ。