Treasure

□旅行(小説)
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現金?あぁ、これ?」

グレイは適当に札を取り出し運転手に渡すと運転手はグレイに札とコインを手渡した

―バタン

「ありがとうございましたー」

ブロロ… とタクシーが去るとグレイは返されたコインを月に翳して見た

「何?このコイン?」

「初めてみるわ」

※お金です








二人は空港に入るとビジネスラウンジのソファーに身を埋めた

「結構人がいるのね」

リジーが辺りを見回してそう呟く

一度座ったグレイだったが、直ぐに立ち上がり、

「リジー、何が飲みたい?ボク売店で何か買ってくるよ」

背中を向けるグレイにリジーも立ち上がる

「えっ、私も行くわ」

「それはダメ、レディは大人しく座ってて」

リジーの肩に手を置くとストンと座らせる

「でも…」

「こーいうのは男の役目なんだから格好つけさせてよ」

最後にリジーにウィンクを飛ばす

「じ、じゃあ ココアお願い」

「yes my lady」

グレイは軽く方膝を折ってみせた

「…!もぅ…」

リジーは恥ずかしそうだが、嬉しそうに微笑む

すくっと立ち上がり、グレイは片手を振る

「じゃ、ちょっと待っててね」

「うんっ」




グレイは去ると二人組の男性が近付いて来た

「あの、すみません 此処に行きたいんですが…」

男性は空港内の地図が書かれたパネルを指差してリジーに訊ねる

どうやら道を聞きたいらしい

「此処?此処はえっと…」




リジーが説明をしているところにグレイが戻って来た

「ん?何、あの男達…」

グレイは眉を顰めて三人に近付く

「ありがとう!助かったよ、お嬢さん」

一人の男性がリジーの手を取って軽くキスを落とした

「なっ!」

グレイが驚いて少し目を開くとリジーはニコニコとその男性達を見送る
そしてグレイに気付いてその笑顔を向けた

「チャールズ!」

「…何してたの?」

なるべく自然に聞いたつもりだったが、少し声のトーンが下がってしまった

「道が分からないって仰ったから教えてあげてたの」

「…………」

確かに貴族の間では女性に敬意を表し、手の平にキスを落とすことなんて良くあることだ、そしてリジーも薄い腕まである手袋をしている
それほど気にすることはないのだが、

「チャールズ?」

リジーはグレイの様子に首を傾げ、顔を覗き込もうとしたが、プイと逸らされてしまった
そして腕だけリジーの前に出す
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