Treasure

□邪魔者小悪魔(小説)
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「うわー リジーねぇちゃんかわいそうー
かれし(仮)にどなられてー」

「うるさい、生物(仮)!
元々はお前のせいなんだよ!」

「人のせいにしたー いけないんだー」

アーサーは頭の後ろで腕を組んで言う

「こ、このクソガキッ…!」

憎々し気に言うグレイからスルッと抜け出してアーサーはリジーに言う

「あんしんして、リジーねぇちゃん!
リジーねぇちゃんはぼくが守ってあげるから!」

にぱっ と笑顔を浮かべて言うアーサーにグレイは心中で叫ぶ

「(先に言われたぁぁぁ!!!)」

「ふふ、ありがとうアーサー、心強いわ」

「ほんとっ?」

「えぇ」

リジーもにこっとアーサーに笑顔を向ける

「リ、リジー…」

グレイは色々気力が無くなって肩を落としているとこんな会話が聞こえてくる

「で、大分話が逸れたけど、アーサーはどうして街に一人で?」

「パパとママが従兄弟が“きとく”ってじょうたいになってぼく一人おいてどこか行っちゃったの…」

「えぇ!? じゃあアーサー一人なの?」

リジーのニュアンスからグレイは嫌な予感に駆られた

「うん、いつ帰って来るかも分からないし… 『きとくって何?』ってきいてもおしえてくれなかったの…」

「そうなの…」

「あ、あの、リジー?」

「じゃあ、お母さんとお父さんが帰って来るまで私達のところに泊まる?」

ピキッ ←グレイが石化した音

「ほんとっ!? 行く行く! わーい、リジーねぇちゃんとお泊まり〜!」

きゃっきゃっとはしゃぐアーサーと対照的にグレイは指で押しただけで倒れそうだ
しかし、次のアーサーの一言で我に返る

「ぼく、リジーねぇちゃんと一緒にお風呂入る〜!」

「―――!!? ふ… ふ… ふざけるなぁぁぁぁ!!!」





グレイがうるさいので二人が喧嘩になるので近くのファミレスに入ってリジーがグレイを説得することになった

「このビーフステーキ10人前ね」

グレイは横に食器を積み重ねながら近くを通った店員を呼び止めてそう言った

腹に食事が入ったことによってグレイの機嫌も大分良くなった

今アーサーはドリンクバーに行っている

「ねぇ、チャールズ… 泊めてあげましょう?」

その話を持ち出すとグレイは目を閉じてプイとそっぽを向く

「ヤだ」

「可哀想じゃない、アーサー一人で… まだ子供なんだから」

「…………」

グレイは無言でモグモグと口を動かす

「…子供が嫌いだから?」

ふとリジーは寂しいそうに呟いた

「―――っ ………!!」

タイミングが悪くグレイはなにやら肉が喉に詰まったようだ
胸らへんをドンドンと叩いている

リジーは俯いて続ける

「そっか… やっぱりチャールズは子供嫌いなんだ…」

「―――!! ―――!!」←詰まってる

そんなことに気づいていないリジーは続ける

「そりゃ… やっぱり育てるのは私達だから
チャールズが嫌だって言うなら無理にとは言わないけど
私はずっと… チ、チャールズの子供が…」

「――!! 〜〜〜!!」←窒息しそうで聞いていない

「ほ、欲しいなって…」

「〜〜〜っあー!! 死ぬかと思った…」

「…………」

リジーの顔が一気に白ける

「あれ? リジー、どうしたの?」

リジーはフルーツジュースを一気に飲み干して、ダン とテーブルに置く

「何でもないわ」

グレイが何か口を開こうとした時、アーサーが戻って来た

「リジーねぇちゃーん!」

「ふふっ、お帰りアーサー いいのあった?」

「うんっ! このオレンジジュースすっごくおいしいんだ!
あ、おにぃちゃんにももって来たんだよ」

アーサーはグレイにグラスを差し出した

先程まで肉が詰まっていたグレイは直ぐに受け取る

「何だ、気が利くじゃん」

ゴクッと一口飲んだ瞬間、

「ブーーーー!!」

吹き出した

「な、な、何コレ!!?」

「ゴーヤジュースだよ」

サラッとアーサーは言う

「何でゴーヤジュースなんだよ!
ボクはこういう系統の野菜が大っ嫌いなんだよ!
それからロンドンにゴーヤはない!」

色々丁寧に突っ込みを入れた後、アーサーは悪びれる様子もなく言う

「ぼくのお母さんが言ってたんだもん、カリカリして怒ってる人はビタミンCが足りないんだって」

「誰のせいで怒ってると思ってるんだ!」

ガタッと席を立つグレイ

「ちょっと、チャールズ 場所考えてよ」

小声で言うリジーにグレイは大人しく椅子に座った

「で、何でボク達こんなところに入ったんだっけ?」

「だから、アーサーを暫くの間泊めてあげようよってこと!」

「えーーー」

なお渋るグレイにリジーは最終手段に出る

「グレイは子供が嫌い?」

「い、いやっ そうじゃなくて――」

「じゃあ証明して!」

「えぇ!?」

「チャールズがその… わ、私達の子供をちゃんと可愛がれるか証明して!」

「えぇぇぇぇぇぇ!?」



グレイに人生最大の試練が訪れた― (笑)←


→あとがき
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