novels.(grey×lizzy)
□Baby Doll
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「―」
リジーを待っている間、ボクは店の中のウェディングドレスを見て回っていた。
「ふぅん・・・」
ちょっとつまんでみたりしてじーっと観察している。確かにキレイだけど別にドレスに興味はない。フィップスが来たら大喜びだろうなあ。まっ、アイツが着たらキモチワルイけど・・・。
こういうものの目利きはフィップスの方がいいんだよね。
「・・・・」
何がいいかなんてボクには分からない。けど、リジーには全部似合うと思ってしまう。ここにある白いドレス全部ね。
「アハハ、恋の病かな。ここまできたら重傷だよ」
小さくそう呟きフッと笑った。
「お・ま・た・せしましたぁ」
「―」
ブリッコ店員の気味悪い声がボクをイラッとさせる。
「君ねぇ・・・」
もっと普通に話そうよ―・・・
そう言おうと彼女の方に視線を移した・・・
「はぁーい、花嫁様のできあがりぃー!」
「―っ///」
恥ずかしそうに、ゆっくりとボクの方に歩いてくる純白のウェディングドレス姿のリジー。
「・・・・」
瞬間、言葉を失った。なんて言ったらいいのか、分からない―自分でも情けないって思うけど・・・。
純白の天使―という言葉しか浮かばなかった。
「チャールズ・・・?」
「あ、え・・・?」
「どう、かな・・・?」
瞳を細めてしばらく見惚れていたのかも―。どのくらい経ったのか分からない。
「―チャールズ」
リジーの声でやっとボクは我に返った。
「あっ・・・カワイイんじゃないの」
我ながら間の抜けた返事だなと思った。いつになく戸惑っている・・・ボクがボクじゃないような、そんな気分だ―。
「・・・・」
言葉、浮かんでこないよ・・・本当に―。
「また来てくださいねぇ〜!!」
「・・・・っ」
うるさいな。
手を大きくブンブンと振っている店員に呆れながらも、ボクたちは店を後にしていった。