†猫の恩返し†
□ホントの気持ち。11
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目の前の美しい白猫を、私はただ見つめるしかなかった。
彼女は、確かにルイーゼの姿をしていた。
凛として優しげなその眼差しも、私がかつて共に生きた、ルイーゼのものだった。
しかし。
何かが引っ掛かる。
彼女は、本当にルイーゼなのか?
姿形は、我々のような力を持つ者であれば、どうとでも変えられる。
ただ、眼差しだけは創ることが出来ない。
それは、彼女が…ユキさんがルイーゼである証明になる。
だが、何かが違っているのだ。
論理的に考えようとすればするほど、頭がぐちゃぐちゃになっていく。
私はこうも容易く心乱れてしまうのかと、自嘲した。
「―バロンさん。」
突然響いた澄んだ声に、私はハッとした。