落乱小説

□逢いたい気持ちは君も僕も
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「はぁ...」

今日何度目かのため息をつく。
乱太郎は愛しい人に逢えないことは、こんなにも辛いものなのか、と初めての感覚に慣れずにいた。

(もう何日逢ってないんだろう...)

「はぁー...逢いたいなぁ...」

────
「はぁぁ...」
「またため息!ちょっと、しぶ鬼どうしたのよ!」
「ん...いや、別に。」
「しぶ鬼は乱太郎に逢えなくて淋しいんだよ、山ぶ鬼。」
「ふぶ鬼!」
「なによそんなこと?」
「そんなことだと!?」
「だって、逢いに行けばいいだけじゃない。」
「山ぶ鬼、おまえなぁー...そう簡単なことじゃないんだぞ。」
「なんで?逢いたいなら逢いに行けばいいじゃない。しぶ鬼は難しく考えすぎなのよ。 」
「そうだよしぶ鬼。」
「ふぶ鬼まで!」
「いいからさっさと行ってきなさぁーいっ!!」

山ぶ鬼はしぶ鬼を校門から追い出した。

「いてて...くそっ山ぶ鬼の鬼!」

しぶ鬼は半泣きになりながら忍術学園へ向かった。

─────
「乱太郎!」
「!! しぶ鬼!?」
「ひ、久しぶり... 」
「久しぶりしぶ鬼ぃー!元気だった?」
「ま、まぁな。」
「よかった。ケガもしてないみたいだし。」
「そんなマヌケじゃない。もう四年だしな。」
「あはは。しぶ鬼ももう四年かぁー」
「乱太郎も一緒だろ。」
「そうだった!...なんか、学年が上がる度に逢う回数が少なくなってるよね...私たち。」
「...まぁ、敵だからな。」
「...でも、それでも私はしぶ鬼が好き。」
「! 僕だって乱太郎が、その、好き...だよ。」
「しぶ鬼っ。...私ね、もっとしぶ鬼に逢いたいよ。淋しいのは...嫌だよ...。」
「乱太郎...。」

しぶ鬼は今にも泣きそうな乱太郎をそっと抱きしめた。

「...しぶ鬼、また背ぇ伸びた?」
「みたいだな。乱太郎がちっちゃい。」
「うるさいよっ!私もその内伸びるもん!」
「はいはい。」
「ちょ、信じてないでしょ!」
「んー...うん。」
「くそぉ...しぶ鬼なんてすぐに抜いてみせるから!」

『乱太郎ー!!どこだー!?』

「...呼んでるぞ乱太郎。」
「ほんとだ。きりちゃんかな?」
「じゃあ僕も戻ろうかな。」
「あ、待って!」
「ん?」

─ちゅ─

乱太郎はしぶ鬼に軽いキスをした。

「!?」
「えへへ...またね、しぶ鬼!」
「ちょ、」

乱太郎はきり丸のとこへ駆けていってしまう。

(またしばらく逢えなくなる)

「...」

(次逢えるのはいつ?)

「っ...! 乱太郎!」

しぶ鬼は乱太郎の元へ走った。
乱太郎の腕を掴み、引き寄せる。
思いきり唇をぶつけると、歯があたりガチッと音がした。

「っん、」

乱太郎はいきなりのことに目を閉じることもできず驚いている。

「...っ、またな乱太郎。」
「え、あ、うんっ。またね、しぶ鬼。」

しぶ鬼は赤く染まった顔を隠すように林の中へと消えてしまう。

「...いたっ...」
痛む唇に触れてみると血がついていた。

「はは...もう、乱暴なんだから。」

乱太郎はしぶ鬼の不器用な優しさを感じ、早くまた逢いたい、としぶ鬼を想う。




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