藤の華
□薄紫色の
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ワシは三成を倒した。
絆を信じ、その心を貫いた。
そのはずだ。
ワシは、この期に及んで何かを止めようとしている。
ワシにはもうこの日の本には敵はいないはずなのに。
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動かなくなった三成を佐和山城まで運んだら、城の三成の部下達は泣き喚き、悲しみに暮れていた。
そこには絶望しかなかった。
悲しみの原因は三成の死だけでは無かった。
三成の妻である皎月院の自害であった。
彼女のことはこのワシもよく知っている。
ワシが豊臣に居た頃からよく話をしてくれていた。
…彼女が死んだのもこのワシの所為であることは確かだった。
正直なところ、とても辛かった。
ワシの貫くこの絆、こうして大切な人たちまでもを失う。それは矛盾ではないのか、と。