【星屑の欠片・日常編】
□第二話
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リボーンが家にやって来た次の日
特に何か有る訳でも無く、何時もの様に家を出た
……まぁ、さも当たり前の様にリボーンもついて来ているんだが
僕の肩に乗って
『リボーン……まさか学校まで付いて来る気か』
「気にすんな」
普通に気にするよ……
溜め息を1つついて前を見ると、同じクラスの笹川京子が先輩の持田剣介に絡まれている
笹川は迷惑そうだが持田は気付いていない
随分鈍い奴なんだな……
すると持田は、電柱の傍に置いてあった花の活けてある花瓶を蹴ってひっくり返してしまった
しかも気付いた癖に戻そうともせずにそのまま横目で流している
『…………』
「?どうした、レイ」
『…リボーン……少し離れててくれ』
急に立ち止まって何も言わなくなった僕を不思議に思ってか、リボーンが顔を覗き込んでくる
僕の視線の先には、蹴られてひっくり返った花瓶を哀しそうに見つめる幼い少年が居た
『……おい』
「あ?」
「え…沢田さん……?」
無言でその場へ近付き、持田に声を掛けた
「何だお前は」
『今それはどうでもいい。それよりお前、その花瓶…何だと思う?』
「は?只の花が活けてある花瓶だろ、んな所に置いて置く方が悪いんだよ」
『……あ"?』
───ガッ!!!!
僕は肩に掛けていたスクールバッグを、下から顎にアッパーを掛ける様に振り上げた
面白い位に吹っ飛んで行った持田は、右手で顎を抑えてこちらを睨んでくる
「いきなり何しやがる!!!?」
『失せろ、笹川も迷惑がってるだろーが』
「Σな…!」
『……』
睨みをきかせると持田は舌打ちをして学校へ向かった
そのまま倒れた花瓶を起こし、散らばった花を元に戻す
「あ……私も手伝うよ、沢田さん」
『嗚呼…』
傍に戻って来たリボーンも、拾うのを手伝ってくれた
「あの……此処の花って…」
『……先週此処で死んだ子供への供え物』
「あ……そうだったんだ…」
少しだけ無言になり、フと僕は笹川に謝罪をしていた
『………笹川、悪かったな』
「え?何が…?」
『持田の事……迷惑がってるとか言ってしまった』
「ぜ、全然!あの……寧ろ有難う、沢田さん」
『?』
「その、持田先輩とは委員会が同じなんだけど……ただそれだけで。なのに付き合ってるみたいな発言が多くてちょっと困ってたの…」
『そりゃ持田も悪いがお前も悪い。嫌なら嫌だとはっきり言え
相手はお前が何も言わないから付け上がるんだよ』
「う、うん……。あ…そう言えば、その子沢田さんの弟さん?可愛いね」
『え、いや……僕の父の知り合いで、家に住む事になった奴』
「ちゃお」
「そうなんだ!僕、どうしてスーツ着てるの?」
「俺はマフィアだからな」
さらりと言いやがったよ
でも笹川は冗談だと思っているのか「わぁ、カッコイイ!」と言っている
そういや笹川は天然だったな…
『……そろそろ行くか…遅刻する』
「あ、そうだね!」
花瓶を元の場所に戻して立ち上がる
「お姉ちゃん………ありがとう…!」
そう言った少年に微笑む形で返事をして学校へ向かう
少年の姿は……リボーンと笹川は見えていなかった──
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