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□オゾン様へ 相互記念
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<オゾン様へ 相互記念祝い>

依頼とは言えど、いわゆる化け物屋敷に入るのは少々気が引ける。どうせ化け物の正体は悪魔なんだろうが、雰囲気から嫌ーな感じがした。恐らく、若と一緒でなければ帰ろうかとも本気で考え出すところだろう。

「ここか?……今ん所は悪魔の気配もねぇけど、嫌な雰囲気だな。」
若も俺と同じ事を思っていたようだ。洋館なのだが壁には蔦が至る所に好き放題伸び、手入れがされているはずもなく全体的に薄汚れている。悪魔以外にも何か色々出て来そうだ。
「嫌でも入るしかねぇだろ。さっさと終わらせちまおうぜ。」
屋敷を眺めるのを止め、若より先に扉を開けに向かう。正直入るのは避けたかったが、後ろは木の密集率の高い森だ。そっちに入って行く方が嫌だった。
背後から若が歩いてくる音を聞くでもなく耳に入れながら、扉のノブに手を伸ばした。

ガサガサガサガサッ

木の葉を掻き分ける音にビクッと肩が跳ね、ノブから手が離れた。
音の方を見上げると、数羽の鳥が森から飛び立っている。その音らしいが、タイミングがバッチリ過ぎる。打ち合わせでもしてたんじゃないのか。
「プッ、ネロビビってんのか?」
若が後ろでうざったく言ってくるが、否定はしにくい。
「そ、そんな訳ねぇだろ!!」
若に否定すると同時に扉のノブを捻る。かなり重そうな扉だったが簡単に開いた。錆びていてもおかしくないのに。
後ろで若が「おお」と驚いたような感嘆のような声を上げた。なめてんのか。

中は薄暗いものの見えないほどではなく、思ったよりは綺麗だった。流石に大きな戦闘があったわけでもないので床や天井などが欠けている事は無いだろうと思ったのは当たっていた。それどころか虫だっりコウモリだったりの動物すらいなく、ホコリがある以外は手入れされたような感じだ。電気が通っているのかは謎だが、今はついていない照明もある。

「まだ悪魔の気配は無しか。
ネロ、何か感じるか?」
「いや、無駄に綺麗な以外は違和感はねぇな。右腕も反応しねぇし、物音もしないよな。」
ここまでくると不気味だ。悪魔が騒々しいとは限らないのだがこれだけ気配も隠さずに堂々と屋敷に入ったのだから一匹くらいは様子を見に来ても良いはずだ。なのに気配すら未だに感じ取れない。
もしかしたら暗殺系の能力に長けた悪魔かも知れない。そしたらこのだだっ広い屋敷で探すのは骨が折れるし、危険だ。本音を言うとめんどくさい。
「こんだけ広いと迷いそうだな。もう二人で一緒に探しに行こうぜ。」
そう言うなり、若はさっさと歩き出す。若が迷ってもいけないし、正直一人でいるのは嫌だ。慌てて若の後を追う。薄暗いのに足取りがしっかりしているうえに結構歩くのが速い。若はこういう所に慣れているのだろうか。

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