Let's rock!

□ネロのバスター講座
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「さぁ始まりました、新コーナー!『ネロのバスター講座』です!」
いつの間にか家具が寄せられ、スペースが出来た場所でバラエティ番組の司会者のようなノリをしつつ若が高らかに言う。
何の新コーナーなのか、てか何がしたいのか、全然分からない急に始まった何かに一同ポカンとしている中、ネロが若の横に立つ。何やら不機嫌な様子だ。
「この方が講師のネロです。え〜、今日はよろしく。」
そんな紹介をされなくても知っている。講座なのか何なのか、よく分からないまま事が進んでいく。「よろしく」と言いながら若とネロが握手をし、次へ。
「本日の被害者……じゃねぇや。ゲストはこちら!!」
もうツッコミが追いつかない。ちょっと頭を整理しよう。まず、本日って事は次があんのか。そして被害者という事が隠し切れてない。それで良いのか。 そんな事を頭の隅で思うが目の前で起こっている事に圧倒され、口には出ない。
「じゃあ、後はお願いしま〜す。」
そう言って若が笑顔で立ち退くと、ネロとおっさん、そしておっさんが逃げ出さないようにしている二代目だけになる。
タイトルコールといい、この雰囲気といい、不穏な空気しか醸し出されていないが、初代やバージルが止める様子もなく、ゆきに至ってはまだ状況を整理しきっていないようである。

「ではバスターの仕方を説明していきましょう。
まず、バスターをする相手を用意します。嫌いな奴かムカつく奴相手だと加減せずに出来るからオススメだ。勿論、触ると痛そうな奴は避けるようにな。」
どうやらおっさんに対してネロは怒っているらしい。二代目がおっさんをネロに向き合わせる。おっさんはどうにかして抜け出そうと二代目の隙を窺っているが、二代目の隙が見つかったら、そいつは世界最強なんじゃないかな。
初代は「おっさんが悪ィんだろうな。」と呟き、バージルは「またか。」と呆れ顔。

「次にどこを掴むか決める。
相手によって技も変えたりするが、今日は叩きつけるタイプにする。
人型の相手だし、地面に叩きつけるんだから頭が良いだろ。」
いよいよヤバくなってきた。おっさんは「坊や、落ち着け」とずっと言っているが、それが出来ればハナからこんな事はしないのである。
「バージル、初代。これ止めなくて良いの?」
やっと状況整理が出来たらしく、今のところ唯一良心的なゆきが訊いた。
直接ネロにバスターされてる所を見た訳ではないし、ましてやされた事も勿論無いが、事務所が揺れる程の威力という事は身を以て検証済みだ。おっさんが何をしたのか知らなくても、止めるべきと判断したのだろう。
「これは髭の責任だ。止めなくて構わん。」
「それに、こんくらいじゃ重傷にもならねぇしな。」
だが止めたら、主にネロからの八つ当たりもどきを喰らうのを前もって実証済みの二人はソファに座ったまま、静観を勧める。
流石に一人では止められないとふみ、ゆきもソファに深く体を沈めた。

さぁ、客席での話し合いが終わった所で、ネロのバスター講座が続く。

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