Let's rock!

□魔具と半魔とメリークリスマス
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12月25日、聖夜と呼ばれるこの日。日本では恋人と過ごしたりもするこの日に、デビルメイクライは開店していた。ネロや他の住人が来てから週休六日はやめたらしいものの、店自体を開ける事はまだ少ない。そのデビルメイクライが開いている。
聖夜だからか、悪魔の活動があまり見られないため依頼も無く、出掛ける予定も特には無い彼らは全員事務所でくつろいでいた。
暇を持て余したネロが何とはなしに点けていたテレビからバラエティ番組が流れ、外でロケをしているらしいVTRが映し出された。
『いや〜なかなかどのお宅も綺麗な飾り付けですね〜。おっ、あの家のイルミネーションが豪華ですね!行ってみましょう!』
どうやら一般の方のお宅拝見系の番組らしい。マイクを持って家主らしき人に走って向かう所を横目に見ながらネロが呟いた。
「そういやクリスマスだな。」
ネロの言葉に反応し、皆の視線がテレビへ向く。一般宅にインタビューをしながらイルミネーションの紹介をし、クイズなんかも出して番組を盛り上げている。画面の端で眩く光っている光は自分の眼で直接見たら更に輝いて見えるだろう。画面ごしではあるが、充分美しい光にゆきは釘付けになった。

「坊やは嬢ちゃんの所に行かなくて良いのか?」
無駄にニヤニヤしながらおっさんがネロに訊くと、ネロは少しだけだが一瞬にして顔を赤く染めてしまった。おっさんを睨んで噛みつきそうな勢いで言う。
「うるせぇよ!キリエには遠いから行けないって言った。余計な心配すんな!!」
朱掛かった顔で睨まれても怖くないのだが、本人は一応威嚇しているつもりである。バスターを繰り出すんじゃないだろうか。
本当にネロは、キリエの事になるといつもの調子を崩してしまう。だからこそ反応が面白くて、よくおっさん何かにからかわれてしまうのだが。
バージルが呆れたため息をついた。
「まあまあネロ、落ち着けよ。おっさんもあんまりイジってやるなって。」
苦笑しつつもネロを宥め、おっさんに忠告する初代は、口ではそう言っているものの今の状況を楽しんでいるようだ。苦笑の奥にその色が窺える。純粋と言えば良いのか、表情や態度にすぐ出てしまうのはネロとゆきくらいのものなので、ゆきはまぁともかく、男であるネロが遊ばれるのもこいつらと一緒に居るからには仕方ないと言えば仕方ない。
まだ赤みが残る顔で不服そうに初代とおっさんを交互に見比べて、ネロは息を吐いた。

「でさ、何かすんのか?やるなら早くしようぜ!」
若が見るからにウズウズしながら言う。この事務所は基本的に何でも楽しそうならやる奴が集まっているが、若は恐らく一番と言って良いほど積極的だ。
さて、どうするかと考え始めた時に初代が思いついたように問いかけた。
「てか、俺たち半分悪魔なのにクリスマス祝って良いのか?」
そこを気にするな、初代よ。あまり細かい所を弄られると管理人が言い訳を考えてない事がバレる。というか、バラしてしまったじゃないか。
「あ、すいません。」
分かれば良い。こちらも助かる。
「何でナレーターと話してるんだよ。」
おい、そこの若。そういう所をつつくなと何回言わせる気だ。
「あ、すいません。」
まぁそんなこんなでクリスマスを祝う事にしたらしいデビルハンターズ。
「話の切り替え雑だな……。」
何か言ったか、髭。
「いえ何も。」
そうか、なら良い。
話を戻そう。クリスマスを祝う事にした事務所の一行は、祝うといっても何をするか迷っていた。何せ半分は悪魔なので神に関する行事は興味がほぼゼロだったので、正直一般の人がどうしているのかも知らないのである。若が切り出したのは良いが、何をするかは全くもって決まらない。
「ゆきは意見はあるか。」
二代目が視線を向けながら尋ねるが、返事がない。不思議に思い全員が顔を向けると、ゆきはテレビに釘付けのままで周りの音など聞こえていないらしい。じっと光を見つめている。
その様子におっさんの右の口角が吊り上がり、手招きで隣にいた初代を呼び、耳打ちした。聞き終わると初代の口角も角度を増し、おっさんと口を揃えて言った。
「「お前ら、後で緊急会議だ。」」

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