魔界へ

□第6章 They decided to stay here
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一瞬で濡れた。分かっていた事だったが、思ったよりひどかった。
もう濡れてしまったものは仕方ない。考えない事にして、二人の様子を見に行く。初代らしき人がついて来るのが気配で分かる。

赤いコートの男を見て確信した。
やはりダンテだ。初代より若い。
2丁拳銃に大振りの剣。どちらも今までのダンテが持っている物と同じだ。
うっとおしく落ちてくる前髪を水と共に横にはらって、青いコートの男を見た。

そっくりだ。だがこっちの方がきつい印象を受ける。
青い、中世の貴族みたいなコートに、腰には…
「閻魔…刀?」
じゃあ、こいつは…もしかして、俺の親父かも知れない、バージルって奴、なの、か?

「くっそ…よりにもよって、テメンニグルの時かよ…。」
初代が呟く。雨で聞き取りにくかったが、恐らくこう言った。

テメンニグル…前におっさんが話してくれた。
悪魔の道へ進んだ兄と、決着をつけた場所。
人間の姿の兄を見た、最後の場所。
体験した本人にしか分からない事もあるんだろうけど、ここには今来たダンテを含め四人も体験した奴がいる。
ふと全員に目をやる。そこで表情が険しい事にやっと気付いた。

「取り敢えず、中に運ぶぞ。話は後でも出来る。」
おっさんに言われ、はっとなり二人を担ぐ。初代も手伝ってくれた。
にしてもこいつらスゲえ血まみれだ。雨で多少は流れたようだが、それでもひどい。鉄臭い匂いが鼻を過剰に刺激する。
流石に殺し合いをすればこうなってしまうのか。

血と雨に濡れた双子を運ぶ。
濡れてるのが、こいつか俺か分からないほどになっていた。
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