魔界へ

□第7章 Nero and Vergil are deep in thought
1ページ/3ページ


双子が「ここに住む」と決まった後、バージルは立ち上がり、「状況を整理する」と言って二階の空き部屋に一人で閉じ籠もった。掃除してないのだが、出て来る気配もないので、別に気にしてないのだろうと勝手に判断する。

…無理もない…か…。
いきなり変な世界に飛ばされたかと思うと、未来の弟が三人もいて、どこの馬の骨だか知らない奴が自分の愛刀を、悪魔になってる右腕に収納していて、挙句の果てにはこの世界の自分は死んでいると聴かされたのだ。

はい、そうですか。と理解出来る奴の方がおかしい。 むしろ混乱で狂って、暴れてしまってもおかしくない。
あそこまで冷静なのはすごい。…表情はすごく険しかったとはいえ。
あと、おっさんから前々聞いてた話によると、性格も気難しく、気配もほぼ消せる。弟とは仲が悪く、殺してでも魔界に行こうとしたという事だから、てっきり出て行ったり、弟を殺そうとするかとも思ったが、表情が多少怖いだけでそんな事はなかった。…表情が怖いだけで。
まぁ、それが一番なんだろうけど不思議でもあり、多少不安でもあった。
バージルには話してないが、パラレルワールドの住人とはいえ親父かも知れない人なのだ。閻魔刀も使いこなせるらしいから、もうこの世界では死んだといえ、すごく会いたかった。

何が、彼をここに留まらせる原因となったのだろう。
考えてもバージルにしか分からないし、もしかしたらバージル自身も分かってないのかも知れない。

うだうだ考えるのは性に合わないので、やめた。

三人掛けのソファーの真ん中で大きく場所をとってくつろぎつつ、ぐるりと周りを見渡す。
若はシャワー中。初代は依頼。二代目はキッチン。事務机に足を投げ出し雑誌を顔に乗っけて寝るおっさん。
俺が来るまでは、おっさん一人だっただろうに、今となってはかなり、しかも急に住人が増えた。
くせのある奴ばかりだが、赤の他人ってワケでもなく、悪い奴でもないので、結構楽しいが。
やっぱり『ダンテ』だという事を忘れてしまう。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ