魔界へ

□第16章 A decisive battle and… 前編
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何かある日 というのは 何となく分かる。
理屈ではなく 感覚で。



起きた時から何かを感じていた。良くも悪くも何かが起こる時は、決まって感じる 何か。
しかも事務所内の全員が感じているというほどの魔力も街の中では漂っているようで、悪魔絡みで何か起こることはほぼ明確だ。
やはり勘なのだが、あの少女のような悪魔が出現するのではないかと睨んでいる。

一応装備をしておく。神出鬼没なあの悪魔は、一度逃したらもう後が無いと思っていいだろう。シャルルの報告があるといえど準備しておくに越したことは無い。
しかしもう夕方だ。夕方からが最も奴等が活発になる時間でもあるから、来るなら今からだろう。更に気を引き締める。
ふと全員の様子を見ると、やはりなんだか落ち着かないようで、若なんかはずっとソワソワしているし、ネロはレッドクイーンを手の届く場所に常に置いてるし、バージルは本読んでるけど集中出来てなさそうだし、初代は銃の手入れしてるけどさっきから同じ事繰り返してるし、おっさんや二代目も一見普通に見えるけど、やっぱり落ち着かなそうで。
恐ろしいほどに静かだった。
「ゆきっ。」
その中に烏が一羽 舞い込んできた。
「シャルル、 何があったの?」
シャルルはソファの背もたれに音も立てずにとまるとこう言った。
「例の悪魔の居場所を見つけた。
恐らくこちらに向かって来ている。
…どうする?」
珍しく少し焦っている様子だった。状況は良くないのだろう。
「そりゃ、本当か?」
おっさんが訊くとシャルルは小さく頷く。
「あぁ ウソをつく理由がないな。」

選択肢は大きく分けて二つ。
自分達も向かって行くか、ここで来るのを待つか。
確実な方を選んだ方が良いか…。
「ここで待とう。」
私の意見にみんなが頷く。
「やはり確実な方が良いからな。」
と二代目。
「それに地理的なモンはこっちの方が詳しいしな。」
と初代。
こちらを選んで正解な気さえする。正解は無いのだろうが。
「じゃあシャルルは状況教えて。 そこから戦術を練ろう。」
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