Sweet dream

□ある日事務所では
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静かだ。異様なまでに、音が無い。
原因は事務所にいる人の人数と、残っているメンバーにあった。
残っているのは二人。
しかもゆきは良いのだが、もう一人がバージルという、喋るのがはばかられるような状況である。

嫌がらせかとゆきは思う。
あまりよく知らない人間と共に居るのは良いのだが、会話が出来ないとなると話は別だ。
しかも怒りやすく、怒るとかなり怖い。若が串刺しになっているのは見慣れたが、自分はああはなりたくない。
何故私とバージルだけなんだと思うが、バージルは本をずっと読んでいるので、まだ大丈夫だ。
でも、話しやすい若やネロだとまだ気が楽だなと考えるが、それはそれでどちらにも失礼だなと考えない事にした。

パタンとバージルが本を閉じた。どうやら読んでしまったらしい。傍らに積み上げていた本を眺めてから何も取り出さずに、じっとしている。

どうしたのだろう。とゆきは思う。実は、沈黙が続く間に、バージルがここにある本は全て読んでいた事は知らない。

バージルはソファから立ち上がるとゆきの方をチラッと見て、キッチンへ消えていった。

数分たって、バージルが戻って来ると両手にカップを持っていた。
そしてゆきの前まで来るとカップを黙って差し出す。

「あ、ありがとう…。」
突然の事に戸惑いながらも礼を言ってカップを覗く。
コーヒーを淹れてくれたらしい。
気がきくな、と意外に思いながらもコーヒーを啜った。
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