Sweet dream

□Kiss me!!
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若は何気無くついていたテレビを眺めていた。依頼は他の住人が全てやっている最中のハズだから電話番も兼ねてはいる。が、そうそう電話がかかってくる事は無いので実質暇を持て余している。
その中で気になる話題が出た。

『今日5月23日は キスの日です!
なかなか伝えられないその思いを唇で表現してみてはいかがでしょう?……』

「Kiss day?」
テレビのアナウンサーが言った言葉を復唱する。その「キスの日」という単語だけが気になって、後の言葉は耳に入らない程になっていた。

そういえば何処かで聞いた事があるかも知れない。
若は朧気な記憶を探るが、何処で聞いたのかはさっぱり思い出せない。
だが、若にとってそれはどうでも良かった。
今日は若とゆき以外は依頼で事務所に居ない。
その事を思い出して若はニヤリと口を歪めた。

「なるほど……キスの日、ね……。」

思いついた事は即実行に移すのが若である。
悪巧み、イタズラを思いついた子供のように、笑う。
ゆきが二階に居る事を確認して、若は事務所の扉を閉め、鍵をかけた。
そして、二階へと一歩ずつ踏み締めるようにして、階段を上がっていった。


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