Sweet dream

□いつも近くにいてほしい
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ネロとキリエを見送った後、尾行しようとした若とそれに乗ろうとした初代を、バージルと一緒に止めて、やっと落ち着いた。主に若が大変だったが、バージルも手伝ってくれたし、あまり冷やかすもんじゃないと釘を刺しておいたから、もう大丈夫だろう。残念そうな顔をして、不服を述べてはいるが、納得はしたはずだ。

「でも……羨ましいかな……。こういう風に何かしてあげられるっていうの。」
透視能力があるわけでもないし、もう遠くに行ってしまっただろうし、どちらにしても見えないけど、閉まっている扉越しに二人が歩いていった方向を見る。
初対面でも優しくて人の良い人間だと分かるほど礼儀正しく、明らかに年下の(日本人で童顔だから絶対にそう見える)私にも敬語で話してきたのでこちらまで恐縮してしまった。後で大分打ち解けた時に年齢をバラすとかなり驚いていた。曰く、年上に見えた そうだ。その後は普通に仲良くなった。

「じゃあ、俺達もやるか?」
「へ?」
おっさんのセリフに思わず間抜けな声が出た。
てか、今何と?何と仰ったこの髭は。
「良いな!やろうぜ!」
何か若までノリノリだし。
「だが、こちらは五人いるぞ。どうするんだ。」
あ、ツッコむ所はそこなんですねバージルさん。やる事に対して否定はしないんですねバージルさん。
て、何でバージルまで参加しようとしてんだぁぁ!ノリノリかぁ!?
「ちょ!ちょっと待て!色々おかしい!」
混乱しながら五人を止める。ツッコむべき事が山ほどあるが、微妙に頭での処理が追いついてない。深く息を吸ってゆったりと吐く事でクールダウンを行う。
「どうした?ゆき。」
初代がキョトンとした目でこちらを見て言う。 どうした じゃねぇよ。
てか、初代もやる気満々だったのか。まぁ、バージルでさえノリ気だからおかしくはないし、そうだろうとは思ったが、自分の置かれている立場を理解しているのだろうか。この人達は。
「私と皆は恋人じゃないでしょ。恋人が五人いるっていうのもおかしいし……。」
今日が何の日かはさっき確認出来たはずだ。うん。
「今日がその日だからって恋人じゃない奴らが一緒に居ちゃいけない訳じゃない。 そうだろ?」
ごもっともな意見を言われて言葉がつまる。 確かに恋人として一緒に居ると決まった訳ではないが、そういう日だと知っているうえでやるのはどうなのか。
グルグルと思考が循環している中、一つの答えに辿り着いた。
今まで意見を言ってない人に同意を求める。

そう、二代目に聞こう。
「に、二代目は反対だよね?」
この中で一番のまとめ役の二代目ならきっと味方してくれるはず……。

「お前は 出掛けるならどこへ行きたい。」

……いつから味方だと錯覚していた。
二代目は敵だった。

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