Sweet dream

□たまには私が……
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パソコンを弄っていた。もちろん自室でだが暇な時やどうしても情報がいる時なんかには、よくある事だ。他の住民は多分私がパソコンを持っている事自体知らないだろう。機械には強くないが、シャルルにも助けてもらっているから不自由はない。
今日は、今度依頼で遠出する際の宿泊施設探しを主に情報収集をしていた。まぁいつも通りと言えばいつも通りの作業な訳だが、ふとある記事が目に付いた。
 
 「7月30日は女性が男性に告白する日……?」
 初耳だ、こんな事が言われているとは知らなかった。気になったので少し詳しく調べてみることにした。

ーーーー1時間後ーーーー
 
 
 結局出所も何も掴めなかったが、今日がそういう日である事はネット上の皆さんが言っていたし間違いなさそうだ。しかし、何処からこんな情報が流れているのか、いまだに謎である。誰がこんなことを思いついて、公表しているのか、何にあやかっているかも気になるところではあるが、分からないのであれば仕方ないだろう。いつかはこういう事も知っていきたいものである。
 
 宿探しも済んだし、1時間も同じことを調べているのは流石に疲れた。有益な情報もこれ以上は出ないだろう。溜め息を吐きながらパソコンをシャットダウンして、閉じた。
 パソコンをつけた時間もそこまで早くはなかったのだが、それでも太陽が沈みかけていた。
 作業なんかをするときは集中して周りが見えなくなることもたまにあるから、こういう事は珍しくないのだが、やはり時間がたつのは速いな、と実感し、少々驚いてしまうものがある。
 特にすることも無く、数分間パソコンを閉じた体勢のままボーっとしていたが、なんとなくみんなが何をしているか気になったので一階に降りる。

「あれ?少ないね……。」
 思わず口から出てしまった言葉。全員いるとばかり思っていたのだが、実際事務所内にいるのはネロ、二代目、初代の三人だった。
 
 「お、ゆき。」
 初代が一番に私に気付いたらしく、こちらに顔だけを向けた。何をしているんだろうと近付いて手元をのぞく。テーブルの上には分解された銃であろう物と工具。どうやら初代は銃の手入れか改造をしていたらしい。
 結構マジマジと見ていたらしく、初代が手を止め、「どうした?」と言ってくるまで視線に気が付かなかった。初代は私の視線が気になるようだ。
 「何でもないよ。」とだけ返して、邪魔にならないようにキッチンにいるネロのもとに行く。
 ネロは夕飯の準備をしていた。だが、いつもより量が少ない。残りの三人は今日は帰ってこないんだろうなと少し寂しく思いつつ、ネロに声を掛けた。
 「ネロ、手伝う事ある?」
 家事音痴、とまではいかないと思うが、私はそんなに家事が出来ないのでする事は限られている。
 「ん〜……特にはねぇかな。手ぇ借りたい時になったら呼ぶ。」
 ネロも、一人でやっているから大変そうなのだが、そんな所はそこまで見ない。
 私も少しは出来るようにならなくちゃなと思いながら、ここも邪魔になってはいけないので、早々に出た。

 二代目は三人掛け用のソファーに陣取って、足を組んだまま器用にリベリオンを磨いていた。
 時折照明にかざしてみたり、光を反射させてみながら、磨き具合を確認しているようだ。
 二代目の右側がギリギリ座れるくらい空いていたから、二代目の表情を見て、恐る恐るといったように座った。
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