魔界へ

□第3章 It's parallel world
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「…や…ぼう…坊や。起きろ。」
「ん?あぁ、んだよ、おっさん…。」
おっさんの声で目を覚ました。と同時に良い匂いが鼻をくすぐる。チーズの少し焦げたような、食欲をそそる匂い。 そこで俺の意識が覚醒した。
ふと、時計を見る。良かった、それほど時間はたってない。 しかし、もう昼飯時である。

「おっ、ネロ。良い夢見れたか?」
いや、夢は多分見てな…じゃなくて…。
料理を三人分、器用に運びながら初代が来る。
チーズの匂いがするから何かと思ったらグラタンだった。

一目見て分かった。
このグラタン 絶対 うまい。
お手本のようなチーズの焼き加減…。
さっきから腹が「早く食わせろ!」と主張している。
「おぉ、うまそーだな。」
おっさんが呟く。
三人の食事がテーブルにつくと、一斉に食べ始めた。
しかし、一口食べると俺の動きが止まる。

(ウ、ウソだろ…?)

やばい。負けた。うますぎる。想像を上回る美味さだ。こんな美味いチーズ料理、食った事ねぇ…。

「お口に合いましたでしょうか?」
そう言う言葉とは裏腹に自信たっぷりで得意気な表情と共に言う初代。やはりダンテだ。

「うっ、 うまい…。」
合わないわけがない。悔しいが認めざるを得ない。
「有り難き幸せ。」
ふっと微笑んで食べる様子を見つめていた初代も食べ始めた。その顔はとても嬉しそうな笑みを浮かべていた。
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