魔界へ

□第5章 The twins fell
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少しして、水が流れる音が聞こえ、りする音が止んだ。
「今帰って来たのは初代か。」
「あぁ、そうだけど。昼飯出来た?二代目。」
「あと少しだ。悪いが手伝ってくれ。話したい事もある。」
最後の言葉を不思議に思いつつキッチンへ向かう。
そこには、昼飯であろうペペロンチーノスパゲティがフライパンの上に大量に盛られている。

まぁ、俺もこんくらいは作ってるから見慣れてはいるが。

慣れた手つきでトマトを切っていく二代目。
その横には野菜が並べられている。どうやらサラダを作るらしい。
「何サラダにするんだ?」
よりにあったレタスを手に取り水で洗う。
「シーチキンサラダだ。レタスは一枚ずつで頼む。」
次の野菜に手を伸ばしながら、俺の手元を見る。
「あいよ。 でさ、話したい事って何なんだよ?」
目線は二代目に向け、洗い終わったレタスをむしる。 ペリッと軽快な音が響く。
二代目は鍋を取り出し、水を加え、コンロにかけた。
「ああ、ただの勘というか、何となくなんだが…
今日何か起こるかも知れん。」
「えっ?」
思わず手を止めて二代目を見る。『何か』って何だよ?
ゆっくりとした動作で俺を見つめ返す二代目の瞳には、不安と驚きの混じった表情をしている俺が映る。

「…心配するな。ただの勘だ。
それに悪い事とは限らない。」

ああ、二代目の瞳は俺の心を見透かせるのだろうか。
二代目の声は人を安心させる力があるのだろうか。
表情はおっさんより豊かではないし、どちらかというと言葉数も少ない。
最初に出された殺気も恐ろしかった。

だが安心できる。 一番頼れる存在でもある。

二代目により落ち着いた俺は調理を再開する。
その様子を見て、二代目もブロッコリーを鍋に投入した。
俺はシーチキン缶を開け、油を適度に捨てる。
やはり二人で作ると早く出来る。

水を飲みに来たおっさんに強制的に皿を出させ、初代がシャワーから出て来たところで昼食となった。

初代が髪をしっかり拭いてなくてバスターした事はあえて割愛しておこう。おっさんにもしたような記憶が…。同じ『ダンテ』なんだな。今さらながら。
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