嵐と流れ星

□第1章
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この時期になるとよく目にする「楽しい春の新生活」って文字。
イメージするのは真新しい制服やこれから通うことになる校舎、学校帰りにみんなと寄り道したりナンパしてみたりとか人それぞれだと思う。

実際に俺も去年それを体験して、ついこの間までクラスのバカ仲間と帰りに隣町でナンパしてみたりした。



...それがなんで急にこーなった。



俺は母さんと二人で生活をしてた。
父親は小さい頃に死んだからあんまり覚えてないし、やさしい母さんがいたからそこまで寂しい思いをしてきたわけでもない。


小さいけどそこまでボロくはないアパートで慎ましやかに、それでも楽しく生活してたはずだ……あの日までは...な。



あの日もいつも通りに学校へ行って、クラスのやつが彼女にフラれたって嘆いてたのを笑ってやった。
それで放課後に気晴らしで隣町まで遊びに行ったんだ。それで確か駅前で隣町の女子高の制服を着た子達に声をかけて、みんなでカラオケで騒いでた。
そしたら急に母さんから電話がかかってきた。

俺は普段電話なんてかけてこない母さんに何かあったのか心配になって、家に急いで戻ったのは覚えてる。


そこまではまだいい。
まだ納得はできる。


だけどさ………







「家ついて玄関入ってすぐに母親と知らない男がキスしてる姿を見せられた俺はどーすればいいんだよっ」








思わず息継ぎなしで全力で叫んじまったけど、俺は悪くないはず。


悪くない……はず。

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