花束を君に

□No.8
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なんかでかいテーブルと、沢山の椅子がある部屋。
花咲さんや大空くんは私と一緒で初めて来たらしくて、あまりの大きさにポカンとしている。

「さすがお金持ちです……」

なんて遠い目をしながら言っている。
怖いな富裕層って。
何となく思った。


何故だろう。
こんなことをふっと思い出す。
昔、親がこんな映画を私に見せたことがある。
ドキュメンタリーもので、その時は全く興味を示さなかったが。
どこかの国の大富豪の夫婦が、それまたどこかの宮殿みたいな別荘を建設する。
だがその最中に金融恐慌が起こり、大富豪が破産の危機に瀕するという内容。
印象に残ったのが、家が大変な状況なのに女の方が衝動買いをし続けるという場面だった。
今はその映画、レコーダーに残ってるかな。


「サキ?」

アミに呼ばれ、我に返る。

「ううん、なんでもない」

どれだけ思い出に耽っていたんだと言う話だ。
無意識のうちに席についている。
目の前にはバニラアイス。
上にちょこんとのったミントの葉と、飾りとしておかれた二等辺三角形のようなウエハース。
お店か。
なんか突っ込める。
けれどそれは黙っておく。

「いただきます」

目の前におかれたスプーンを手に取り、アイスを掬って食べる。
まったりとした味が広がった。

あれ、携帯で親に連絡したっけ。
まあいいや。
今はこの時間を楽しもう。
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