花束を君に

□No.0【プロローグ】
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「転入生?」
アミからその情報をききつけ、私は少し興味を示す。
「そうよ、サキ」
性別は聞かない。
仲良くできるなら男か女かは関係はないと思うから。
「先生から聞いたわ」
「へぇ」
「え、転入生!?」
すかさずバンが首を突っ込んでくる。
朝の用意の途中にこんな話を聞いたので、ワクワクせざるを得ない。
だいたい、この学校はやけに転校生が多い気がする。
そう思っていると、教室に先生が入ってきた。
テンプレートな挨拶を済ませ、健康観察を終わらせる。
「さて、次は……」

――言い終わらないうちに、轟音が耳を貫いた。
窓の外を見ると、何やら黒い飛行物体が。
残念ながらUFOを信じる類ではないため、そんな非科学的な物は思ったりはない。
の前にそんなことは考えられずずっとファビョっていたが。 我ながら恥ずかしい……ではなく、こっちに向かってきているから当たり前である。
恐怖を紛らわそうと、チラッとアミの方を見る。
「……え?」
意外にも落ち着き払っていたので、逆に自分が慌てすぎなのかが瞬時に心配になってきた。
何故だろう。
彼女が『あ、あの人か』と言いたげな目をしていたのは。
きっと何処かで会ったことがあるんだ、そうなんだと思い込んでみる。

「あれ?」
窓のすれすれまで近づいて、もうすぐこれガラスが割れるんじゃないかと言うぎりぎりの場所で黒い飛行物体が止まる。
乗り口が開き、人が出てくる。
黒のヘルメットを被った水色シャツの少年は、被り物を脱いで運転手に渡した。
黒髪をメッシュにした、変わった髪型の彼を見て、アミはやっぱりかという眼差しに。
バンは懐かしいものを見る目で言う。


「ジン……」

この時点で、ジンって誰だと突っ込みたくなった。

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